第47話 歩夢、マザコン卒業
めぐりと今、家で過ごしている。
俺はふと思った。
マザコンの克服。
定義は何かにずっと困っていた。
でも、答えは大変シンプルなものだった。
男の1番魅力的な女性は母親だという。
その母親以上に魅力的な女性に出会い、結婚すること。
つまり、めぐりと出会い、結婚することだったんだ。
最初から俺はめぐりにママになってもらう必要なかったんだ。
「めぐりにママになってもらう必要が最初からなかったんだ、俺が勘違いしてすまん、そのせいでめぐりを苦しめてごめん」
「ううん、大丈夫だよ」
めぐりはゆっくり首を横に振る。
「俺は幸せな家庭を作りたいってのが小さい頃の俺の夢なんだ」
俺は自分の思いを告げる。
めぐりは口を閉じて、俺の目をじっと見つめる。
いつでも俺の話は受け止めてくれるが、今日はいつも以上に、めぐりがすごく真剣に俺の話を聞いてくれていることが分かる。
「幸せな家庭をイメージした時、自分の子供を幸せにできる理想のお母さんって誰だろうって必ず考える。そんな時、俺がいつでもイメージする相手は決まってる」
そう言うと、めぐりはニコッと笑い、恥ずかしそうなはにかんだ。
俺が何を言おうとしてるかどうやら分かってるらしい。
さすが、めぐり、本当に敵わない。
「俺は子供が欲しい、そして幸せにしたい、め幸せな家庭を作る理想のママって俺の中ではめぐりなんだ」
「すごくありがたいなぁ」
めぐりがほんわかと笑う。
とても幸せそうだ。
その顔を見るだけで改めて俺の気持ちがわかる。
俺は女性としてめぐりが好きだ。
「めぐり、俺と結婚してくれ」
咄嗟に俺の言葉が出てしまった。
プロポーズなのにロマンチックさもおしゃれさも何にもない。
あんまりにストレートなものだった。
しかし、本心だったのでなぜか俺に後悔の気持ちは生まれなかった。
やっと、俺に戻れた気がした。
「よかったね、やっとお母さん離れできて」
めぐりはすごく嬉しそうに笑った。
その顔を見るだけである考えが浮かんだ。
母親を完璧な人間ではないという当たり前な事実にようやく気づいた。
最近の俺は母親と人間として対等に向き合うようになってる。
「俺は完璧だと思っていた母親の欠点ですら見つけるようになってるぞ、大丈夫か?」
「私の欠点ごと愛してくれるんでしょ」
めぐりはにひぃーって笑う。
「もちろんだ、それにこれからは俺は俺として生きる」
「私はずっとそばにいるよ」
めぐりは白い歯を見せて、ニカッと笑う。
その笑顔を見るだけで俺の心はポカポカする。
「めぐりが俺にとっての世界で1番の女性だな」
「そう言ってもらえて嬉しいなぁ、歩夢くん、ありがとう」
「やっと、母親離れをできたみたいだ」
「おめでとう、歩夢君」
めぐりがパチパチと拍手をしてくれた。
「よしっ!」
めぐりが急にガッツポーズをした。
「どうしたんだ? めぐり」
「歩夢くんが自立したら、私はママをやめるって決めていたの」
めぐりはそう告げた。
「えっ?」
「歩夢くん、なんか問題あるの?」
めぐりが目をパチパチさせながら、不思議そうに俺の顔を覗き込んでくる。
「いや、それはちょっと待ってくれ。やっぱりそれはそれで困るんだ。一緒にいてくれ!」
そう聞くと、めぐりはくすくすと笑う。
「今度はママじゃなくて、歩夢君の奥さんとしてずっとそばにいるよ」
「そ、そうか」
めぐりは頬に手を当てて、少し恥ずかしそうにしている。
「めぐりが俺のママじゃなくなるのもさみしいな、また甘えていいか?」
「それはもちろんだよ、歩夢君。いっぱい甘えて!」
俺は思わず、はぁーとため息をついてしまう。
こんな時でも自分の欠点がわんさかと見つかってしまう。
「本当俺はまだまだダメだなぁ」
「そんなダメな歩夢くんも丸ごと私は愛していくよ、ぜーんぶ受け止めるよ」
めぐりの母性が凄すぎる。
「母性ってめぐりのことだろ」
めぐりは「えへっー」とだらしない笑顔を見せる。
なんだか子供っぽい。
めぐりは母性が豊かなのにそう言う器用な表情を見せる魅力的な女性だ。
「私ね、もうバブみを感じておぎゃらせることよりもすごいことできるよ?」
「さすがめぐりだな、めぐりに母性の強さで勝てるやついるのか?」
俺はそう告げると、しばらく沈黙が続く。
めぐりはいつになく真面目な表情をしていて、すぅーはぁーと何回か深呼吸をする。
「探すのはだいぶ難しいと思うよ」
めぐりは自信満々にドヤった。
こう言う時はめぐりは子供っぽい。
母性があるだけじゃなくて、女性としても可愛いなんて最高すぎる。
「バブみについては鈴奈ちゃんに内緒ですごくたくさん教えてもらってたけどね」
「そうなのか? よく鈴奈と過ごせたな」
「だって鈴奈ちゃんは私の可愛い妹みたいなものだもん」
「え‥‥‥‥‥、めぐりすげぇな」
めぐりの母性が鈴奈のバブみを上回っていたのか。
同時に鈴奈が甘える相手もいるんだと言うこともわかり、すごく嬉しかった。
「ついでにこれも喋っちゃおうかなぁ」
めぐりはイタズラっぽく唇に人差し指を当てる。
「可愛い後輩の美咲ちゃんには歩夢くんの落とし方をいっぱい教わったの」
そう言って、めぐりはふふーんと大きな胸を胸を張る。
こりゃあ驚いた。
めぐりは陰でいっぱい努力をしていたのか。
「すごくいい子だからいつもよしよししてたよ、私が美咲ちゃんの頭を撫でてるとき、目を細めてすごく可愛いの」
美咲ちゃんも手懐けられていたのか。
めぐりの母性は留まるところを知らない。
「私はいっぱいママになる練習できたの! だならね、私はいいママになる自信があるの!」
めぐりの目はキラキラしている。
「どんな困難があっても歩夢くんと乗り越えてみせるよ、鈴奈ちゃんも美咲ちゃんも、あとちはるさんも助けてくれるし」
めぐりは俺の右手を両手でぐっと握ってくる。
「だからね、私はこれから先、歩夢君と赤ちゃんを作って、本当のママになるね!」
めぐりはそう言ってとても幸せそうな笑顔を見せた。
甘えたくて、母性を求めて、ママを過剰に必要としていたあの頃の自分に、今ならこう言える。
お前はもうママはいらない立派な自立した男になれたよと。
こうして、俺は実の母親以上に理想の母親となると結ばれたのであった。
◆◆◆あとがき、お礼、お願い◆◆◆
ここまでお読みいただきありがとうございます。
というわけで、
家でまったりと歩夢くんがめぐりちゃんにプロポーズをしましたという回です。
この静かさは2人らしいんじゃないでしょうか?
さて、
もし、
めぐりちゃん大好き、かわいいよぉ〜
歩夢くん、ナイス。
この話面白いっす
と思ってくださいましたら、
♡、☆☆☆とフォローを何卒お願いいたします。
レビューや応援コメントを書いてくださったらできるだけすぐ読みますし、返信も速やかに致します。
さてさて、次回はエピローグ、サービス回みたいなものです。
イラストも公開します。
驚くんじゃないかなぁ?
更新は6月14日6時ごろです
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