私、ちゃんとママになれたよ

第37話  あだちる

 アダルトチルドレン。

 略して、あだちる。


 なんだか、タッチのあだち充をなんとなく思い出してしまうのはいけないことだろうか。

 それはさておき、貫徹さんが言ってたので俺はこの言葉が心に残っている。


 俺もアダルトチルドレンなんじゃないか。

 本当にしたいことが分からないという症状があるらしい。

 ネットで調べると、機能不全家族の中で常に何らかの役割を押し付けられてきたアダルトチルドレンは、本当の要望を言って、親に受け入れられる」という経験がほとんどない。
 


 そのため「自分のしたいこと」「自分の欲しいもの」が大人になっても見つけられず、迷い続ける傾向にあると。


 しかし。


「そういえば思い出したことがあってさ、俺さ、児童文学を書く小説家になりたかったんだ」


「へぇー、いい夢だね」

 

 めぐりはとても嬉しそうな顔をする。

 「歩夢くんが小説家かぁー」と小さな声で呟いていた。


「でもな、母さんに最初に言われたのが、そう簡単になれないし、苦労するよって言葉なんだ、それから人に夢を語るのも自分の夢を何かやめちゃったんだよなぁ」


「そうなんだぁー、大変だったね」


 鈴奈がひょっこり現れる。


「ちはる母様は心配が本人なりの愛情と思考回路の持ち主なんですよ」


 鈴奈がまるで子犬がご主人に怒られたみたいなしゅんとした表情をした。 


「わかんないでもないけど、傷ついたのは事実で、今、俺の心に残ってるのは、夢を追っかけたことがないって事実だけなんだよなぁ」


「兄様はあだちるですね、あだちる」


 鈴奈はあだちるを強調してきた。


「あー、おじいちゃんもよくあだちるじゃないか不安だって言ってたなぁ。本当にやりたいことは見つかったか?って聞かれてばっかだったもん、歩夢くんのその気持ちわかるよ」


 めぐりも何度か納得した感じだった。


「夢への思いが膨らむばかり。だから挑戦したいんだよ」


「うんうん、そうだよね、私もママになりたいって思った時、そんな感じだった!」


 めぐりが前のめりで同意してくれた。


「そういう前にとりあえず、もう模写を始めているけどな、カラフルとか、バッテリーとか」


 めぐりが「偉いっ!」と叫んだ。


「兄様、母様が見知らぬ赤の他人のおばさんが何故か色々やってるぐらいの感覚になりましたか?」


「そこまでは悟ってねぇけど、言いたいことはわかる」


 母さんも1人の人間だということだ。


「そこまでやってくれるとそもそも期待してないのですから、何をやってもらっても感謝できるようになりますよ」


 鈴奈が真顔になった。


「家族という言葉は甘えを教授する理由にするのではなく、いつでも一緒にいたい理由にすべきですからね」


 そう言って俺は改めて思うことがあった。


「めぐり、俺と家族になってくれ」


「もちろんだよ、歩夢くん、私からもお願い」


「わかった」


 鈴奈が「はいはーい」と手を上げた。


「鈴奈もです、兄様、めぐり姉様!」


「いいよ、鈴奈ちゃん」


 めぐりはとても嬉しそうに笑った。

 やっぱり鈴奈とめぐりはとても仲がいい。  

 下手をすりゃ俺とめぐりより仲がいい。

 この後、鈴奈をひたすらめぐりが撫で撫でしていたが、未来もこんな感じなぁーと今の段階でめぐりと家庭を築かことができるんだなぁと易々と想像もできた。

 児童文学作家も目指しつつ、将来お金もしっかり稼いでやると俺だった。


◆◆◆あとがき、お礼、お願い◆◆◆


ここまでお読みいただきありがとうございます。


というわけで、


さっそく第4部です。真面目な話が続きますね笑


さて、


もし、


めぐりちゃん大好き、かわいいよぉ〜


鈴奈ちゃん面白い


この話、面白い


と思ってくださいましたら、


♡、☆☆☆とフォローを何卒お願いいたします。


レビューや応援コメントを書いてくださったらできるだけすぐ読みますし、返信も速やかに致します。


次回は美咲ちゃんのお話です、なんか久しぶりですね、やっぱり真面目要素が強い話です。

もちろん、鈴奈ちゃんがいるので、おふざけっぽくもなりますけどね。


引き続きお楽しみくださいませ。


次回の公開日は6月4日6時頃です。

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