第15話  歩夢をバブらせろ、3人の未来のママたち

「美咲さん、もっと自分の武器を使うべきですよ」

 

 鈴奈の声が俺の耳に入ってきた。

 どうせ俺の我が義妹何のことだから、不穏なことを喋っている気がする。


「兄様にお胸を押し付けたりとかしないですか?きっと柔らかいってお喜びになりますよ?」


「鈴奈ちゃん、しないよっ、そんなはしたいこと!」

 

 美咲ちゃんは真っ赤な顔をして鈴奈の言葉を否定した。

 

 ちなみに鈴奈と美咲ちゃんはとても仲がいい。

 学校で一緒に過ごすところは見たことはない。

 鈴奈がどうやら美咲を一方的に気に入っている感じがするが。


 一方、鈴奈は不思議そうに顔を傾げていた。


「どうしてですか?」


「そういうのは恋人になってからするの?」


「あらぁ。意外と美咲さんは純情ですわね!」

 

 鈴奈が面白いものを見るかのように美咲ちゃんの頭を撫で始める。

 美咲ちゃんは「うぅー」と言いながらおとなしく撫でられていた。

 前々から知っていたが、美咲ちゃんは実はいい子なのだ。

 かつて美咲ちゃんはすごくモテてたみたいだしな。

 俺以外には興味ないと言って、全ての告白を断ると本人からは聞いたけど。


「逆に鈴奈ちゃんはブレーキってものを知りなさい!」

 

 美咲ちゃんはぷんすかと怒っていた。

 いいぞ、鈴奈にもっと言ってやれ。


「どういうことですの?」

 

 鈴奈は全く理解していなかった。


「え? 分からないの?」

 

 美咲ちゃんは鈴奈をジト目で見つめる。

 さすがに呆れるわな。


「兄様がお喜びになることは全てすべきですわよ?」


「まさか、どんなえっちなプレイしてでも?」

 

 美咲ちゃんが指をもじもじとくっつけている。

 耳まで真っ赤になっているから、美咲ちゃんは相当恥ずかしいのが嫌でも伝わる。

 鈴奈はそんな様子を微塵も気にせず、そっと手を合わせて、微笑んだ。


「兄様を全て愛してますから」


「それで何でも済まないからねっ!」

 

 美咲ちゃんは今日1番に声を張り上げていた。

 俺の代わりに行ってくれてありがとう。

 いや、いつも言ってるんだが全く聞いてくれないんだ、この義妹はな。


「美咲さんはバブみの才能に満ち溢れてます、私の次にすごくなれます!」


「そんな才能いらないよっ。余計なお世話すぎるでしょ、鈴奈ちゃん!」

 

 美咲ちゃんの顔は怒ってる。

 こんなところもあるのか、いつも笑顔だからなんだか新鮮だ。


「だってぇー」

 

 鈴奈がきゅぴーんと目を光らせる。


 すると次の瞬間、鈴奈が素早く美咲ちゃんの後ろに回り込んだ。


 ばっ。

 

 美咲ちゃんの服をがばっと勢いよく開けた。


 ぶるるん。

 美咲ちゃんの下着姿の胸が服から勢いよく飛び出す。

 本当にでかいおっぱいだ。


「きゃあああ!」


 美咲ちゃんは涙目で両手で胸を押さえる。


「鈴奈ちゃん、あなたはどうなの?」

 

 鈴奈を美咲ちゃんが睨みつける。


「私のお胸はそう気安く人に見せるものでもありません」


「いってることとやってることが矛盾してるよ、鈴奈ちゃん!」

 

 美咲ちゃんはカンカンに怒っている。

 いや、普通怒るわな。


「千咲さん、兄様はその程度ではおぎゃりませんよ。あの頑強なプライドごと抱きしめないとダメですわ」


「そうなの? 鈴奈ちゃん」


「こうやるんですのよ」

 

 ぐっと急に力を加えられた。

 すると、俺の顔は鈴奈の胸元へと押し付けられて、頭をなでなでされた。


「お兄様、びえーんと存分に泣いてください。泣くことはストレス解消されて、心の健康にいいんですわ」


「誰が泣くか!」

 

 めぐりは嬉しそうかにほっこりと笑う。


「そうなの? 歩夢くん、じゃあ動物モノや感動映画を観ましょう」


「……めぐり、泣いた方がいいってことなのか?」


「うん」


「恥ずかしいな……」


「私も一緒に泣くから」


 めぐりはニコッと微笑んでいる。


「やりますわね、めぐり姉様」


「さすがです、めぐり先輩」


 2人は関心な目をめぐりに向ける。


「兄様、兄様、努力家は、自分を苦しめるサディストであるとともに、そんな自分を素晴らしいと陶酔するナルシストですよ。同時にマゾヒストです」


「どこでそんな哲学仕入れてきたんだよ」


「おしめも全部変えましょう。体を拘束します」


「もはやヤンデレじゃねぇか! ヤンデレは興味ねぇよ!」


「うふふ、大好きな兄様のためですもの。ヤンデレこそ、究極の無条件の愛ですよ?」


「お前の脳内はいったい全体どんな構造してんだ?」


 それを聞いた鈴奈は、少しだけ首を傾げて、こう言った。


「男の子の理想の奥さんは“お母さん”って、よく言うでしょ?それは無条件の愛情を注いで、癒して、甘やかして、居場所を作って、心の安全性を確保してくれるからなんですのよ」


「甘やかすだけじゃないのか?」


「気持ちよく叱ってくれることよ。つまり、お尻ぺんぺんです」


「……なるほど?」


「マゾヒストの兄様ですもの、お尻をぺんぺんするといいです。絶対に喜びます」


「んなわけねぇだろ!!!」


 どこまでがボケで、どこで本気なのか。

 この妹と会話すると、いろいろと常識がわからなくなってくる。 


「兄様みたいに優秀って評価されると、期待されて頼まれごとが増えるだけだから、面倒なんですからちゃんと休んでくださいよ」

 

 急に真面目に心配をされている。逆にこっちが泣きたくなる。


「なんか医者っぽいな、さすが、将来の夢が医者なだけあるな」


 鈴奈の将来の夢は内科医である。


「私の人類バブらせ計画に従っていれば、私にバブらせられる患者さんはすべて幸せ間違いなしですからね、うふふ。みーんな成長していけば、赤ちゃんに戻るだけですから。ご老人になるということは赤ちゃん返りするってことですから。うふふ」

 

 めぐりはそれを聞くと、鈴奈をよしよしと撫で始める。


「鈴奈ちゃんは本当に頭いいね」


「はい、めぐり姉様、鈴奈ですから」

 

 こう見ると、鈴奈は妹っぽい。


「鈴奈ちゃんほどバブみは理解してないけど、私なりにやってみるよ、もう一度」

 

 美咲ちゃんはちらりと俺の方を見る。

 一度は引いたけど、美咲ちゃんももう一度参戦といったところだろうか?

 別に諦めるとは言ってもはないもんな。


「私なりに、“歩夢先輩が甘えられる場所”を、ちゃんと作れたらいいなって思います」


 彼女なりの、まっすぐで控えめな愛情表現。

 それを聞いて、鈴奈はほんの少しだけ、満足げに頷いた。


「我が愛弟子よ、励みたまえ」


「私いつの間に鈴奈ちゃんの弟子になったの!」

 

 鈴奈が自由に暴れまわっておるのもなんだかんだ美咲ちゃんがいるからなのかと思う俺だった。

 鈴奈が楽しそうであることは兄として素直に嬉しかった。


◆◆◆あとがき、お礼、お願い◆◆◆


ここまでお読みいただきありがとうございます。


というわけで、美咲ちゃんもやっぱり可愛いでしょう(どやぁ、作者渾身のどや顔)


もし、


鈴奈ちゃん、すっごくかわいいです、結婚したいです


美咲ちゃん、すっごくかわいいです、結婚したいです


めぐりちゃん、すっごくかわいいです、結婚したいです


三人とも可愛い、ハーレムしたいです


と思ってくださいましたら、


♡、☆☆☆とフォローを何卒お願いいたします。


レビューや応援コメントを書いてくださったらできるだけすぐ読みますし、返信も速やかに致します。


次回からは鈴奈の日常回です。


公開日は5月13日6時頃です。次は義妹はエロいっすよねという話です。

まじでえろうすんません。


ぜひぜひお楽しみに!



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