第10話 超えろ、おふくろの味!
「歩夢先輩のマザコン克服は簡単です」
美咲ちゃんが自信満々にそう言った。
『何?』
めぐりと俺は同時に美咲ちゃんには尋ねる。
「私たちの料理の味がちはるお母さまの味を超えればいいのです」
『あー、なるほど』
確かにそれは大事かもしれない。
「めぐり先輩、料理勝負です、私、結構お料理得意なんですよ」
「美咲ちゃん、器用そうだもんねぇー、なんかわかるよー、勝てる自信ないなぁ」
めぐりはしゅんとしていた。
顔の様子からも本当に自信がなさそうだと伝わった。
めぐりは料理上手なはずだが、何が心配なんだろうか。
「さぁー、作りましょう、めぐり先輩」
「う、ううん。分かった」
めぐりは気乗りしないようだったが、しぶしぶといった感じでうなずいた。
こうして2人のお料理対決が始まった。
※
先に料理を完成させたのは美咲ちゃんだった。
「ふふーん、ちはるお母さまがどう見ても作らなさそうを作ればいいんです」
なんだこれ!
すごいおしゃれなピンクの四角い食べ物だ。
「テリーヌです」
美咲ちゃんがふふんと鼻高々にそう告げた。
「私が作ったものはサーモンとはんぺん、生クリームに、サワークリームを加えたものです」
淡いサーモンピンクの層が何層にも重なり、切り口は美しく波打っている。
表面はしっとりとしていて、ほんのり艶がある。
中にはハーブやほうれん草の緑がアクセントのように散りばめられており、断面を見るだけで食欲をそそる。
「豆知識でしかないですが、もともとフランス語で「土器、陶器」を意味する言葉です、さぁさぁどうぞ召し上がれ」
俺とめぐりはフォークとナイフを使ってテリーヌを口にする。
『おいしい!』
俺もめぐりもハモッた。
他のテリーヌはあまり食べたことないからなんとも言いようがないが、これはかなり美味しいんじゃないだろうか。
美咲ちゃんすげぇな。
「こんなの美咲ちゃん作れちゃうの、すごすぎるよぉ〜」
めぐりは涙目だ。
「勝てるわけないよぉ〜」
どうやらめぐりは完全に自信を失ってしまったようである。
しかし、俺がめぐりが何が作ったものが何かは気になる。
「まぁせっかく作ったんだし、食べさせてくれよ」
「そうですそうです、勝負なんですから」
美咲ちゃんもめぐりが何を作った
ことっ。
お椀を俺たちの前に置いた。
「私が作ったのは具沢山の味噌汁です」
俺と美咲ちゃんは驚き、思わずお互い顔を合わせてしまう。
逆にシンプルですごいと。
俺たちは手を合わせた。
『いただきます』
ずずっ。
俺も美咲ちゃんも味噌汁を飲んだ。
「なんか懐かしい味だな」
食べて最初に思ったことがそれだった。
「ごめんねぇ、頑張って再現したみたけど私じゃあまだまだ無理だよぉ〜」
「上手いよっ」
お袋の味ではない。
なんというか、めぐりの味だ。
これはこれで風情がある。
「俺は好きだよっ」
「くっ、気持ちが入ってます、まさかそうくるとは、めぐり先輩さすがです」
美咲ちゃんはうんうんと頷く。
「めぐり先輩、美味しいのでおかわりください」
「よく食べるなっ!」
美咲ちゃんの意外な面にびっくりである。
母さんがやってきた。
「あら〜みんなすっごい可愛い! ママも3日煮込んだビーフシチューみんなの分、作ってきちゃったの〜」
『さすがすぎる』
美咲ちゃんとめぐりの声がハモった。
母さんはニコニコととても幸せそうな笑顔を浮かべる。
母性。
それが体現されているかのようだった。
「せっかくだからみんな夕飯食べましょうねぇ」
『はーい』
俺たちは仲良く夕飯を共にして、シチューを取り合った。
ちなみに1番食べたのはやっぱり美咲ちゃんだった。
君あんなに食べる子なのにどうしてそんなにスタイルがいいの?
栄養はどこに行ってるの。
美咲ちゃんはそんな疑問が生まれ続ける女の子だった。
食事中に美咲ちゃんに一つ気になることを聞いた。
「そういや、美咲ちゃんって学校で見たことないなぁ、普段どうしてんの?」
そういうと、美咲ちゃんは一瞬目を伏せる。
しかし、すぐににかっと白い歯を見せた。
「ないしょです」
そう言って、はぐらかされてしまった。
美咲ちゃんの謎について気になり、めぐりが何を考えているかも気になったりとどっちつかずになっている自分に嫌になる俺だった。
◆◆◆あとがき、お礼、お願い◆◆◆
ここまでお読みいただきありがとうございます。
二人の料理対決の回でした。
もし、
めぐりちゃん味噌汁食べたい
美咲ちゃんのテリーヌ食べたいなぁ
二人とも可愛い、結婚したい
と思ってくださいましたら、
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レビューや応援コメントを書いてくださったらできるだけすぐ読みますし、返信も速やかに致します。
次回は美咲ちゃんの秘密、学校の美咲ちゃんは?という話です。
公開日は5月8日6時頃です。
お楽しみに!
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