第壹章 シノケノちゃんねるリハーサル
とりあえず、リハーサル1回目は動画を見て思ったことをそのまま言ってみようということになったので、『NGワード』も無しで録画を開始した。
冒頭シーンは、【宴】で【妖狐族】の長・
信乃「ハロハロー!シノだよー」
旦華野「ヤッハロー!ケノだよ」
旦華野の挨拶は、『ヤッホー』と『ハロー』を合わせたもののようだ。バカっぽい感がするが、それは堅物さんの意見で【現役JK】という肩書のハイレベル美少女が言うと、カワイイと受け入れられる。
荘輔「チイッス!シノケノの保護者・ソウだ」
まずは、それぞれが毎回最初に言う挨拶をした。
信乃「今日の動画は、こちら!」
旦華野「とあるセレブのパーティー動画です!」
配信の場合は、視聴者のコメントが画面上に流れるがリハーサルなのでそれがない。いつもなら、信乃と旦華野の目を引いたコメントに対してのリアクションをして尺を稼ぐが、ないので間の取り方に戸惑う。
荘輔「このパーティー、どなたの主催か気になるでしょう?」
荘輔は、耳に手を当てて耳をすます仕草をして焦らす。
信乃と旦華野は、ウマいこと繋いだねと顔を見合わせて録画中だと気づいて、すぐにリアクションをはじめる。
信乃「気になるー」
旦華野「誰?誰?」
そう言って、信乃と旦華野は「みんなも気になるよね!」とカメラ目線で言う。
荘輔「ここだけの話にしろよ」
配信すれば、ここだけでは済まないがツッコミコメントを誘発する為に敢えて言ったセリフだ。
30秒前後の間をとってから荘輔は口を開いた。
荘輔「このパーティーの主催者は、【古族】で1番の美女と名高い【妖狐族】の謎めいた頭領!」
通説では【古族】で1番の美女は【女系古族】と呼ばれる【
【古族】視点になると『見た目』『分類学上の生物分類』など、いわゆる『贔屓目』による美的感覚になる。
【八犬士】たち【犬神族】と【妖狐族】は【イヌ科】なので、同じ【分類】に属する
信乃「【イヌ科古族】女子の憧れ!」
旦華野「葛葉様!って!ええっ!」
旦華野は、葛葉様主催のパーティー会場、と大袈裟に驚いてみせる。
そして、映像は乾杯シーンに移る。そこに、
更にシーンは進んで、グラスの割れる音からパーティーの招待客数名が床に倒れる映像が映される。
ここでは信乃と旦華野は無言で動画を見ている。アドリブでセリフが出て来ないのもあるが、視聴者のコメントに任せてアドリブを入れたほうが良さげな気もしている。2人は、荘輔をチラッと見ると彼も肯定する意味で頷いた。
映像は、恐慌状態の招待客が映っているが音声は居合わせた【医療忍】が応急処置の指示と【救急車】を要請する内容が聞こえる。
最後に救急車に乗せられて搬送されて行く映像で終了した。
我に返った信乃が、開口一番にごめんなさい、と言った。
信乃「びっくりして、頭真っ白になっちゃった」
ここで信乃は、おヤクソクの『テヘペロッポーズ』をする。【現役JKくノ一】には、このあざとい感は武器である。
旦華野「だねー。コレって、【毒物混入事件】のあったパーティー動画!」
荘輔「ああ………誰が狙われたのかわからないって【事件】だな」
公式発表されている情報だけでリアクションすると、こんな感じかと荘輔が言って録画を停止した。
動画編集で色々カットしたから10分間の動画だが、信乃と旦華野と荘輔のリアクションやトークを交えて引き延ばして30分の尺にしようとしている考えを荘輔は告げた。
信乃「私たちの会話入れて約10分延ばせそうだね」
旦華野「配信で視聴者のコメントにリアクションして更に引き延ばせば、ギリギリ尺を余らせることもなさそう?」
尺を余らせない方法を考えている時、グループチャットに着信があった。
荘輔は、グループチャットを開いて思わずスマホを落としそうになる。
荘輔「【おかしら】からメッセージ来た」
荘輔は、リハーサル動画を送ってほしいと書かれていることを告げる。
信乃「と………撮り直し!撮り直そう!」
旦華野「ふざけてると思われそうだもんね!」
荘輔「いや………無理だ。多分、リハーサルを録画した頃合いでメッセージ送ってきたんだぞ」
今すぐ送らないと物理的に首が飛ぶと、荘輔は顔色を失っている。
信乃と旦華野もふたり肩を寄せ合って、恐怖心でガタガタ震えていた。
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