決戦の幕開けと未知なる力

 巨大な異形の魔物が咆哮を上げた瞬間、辺りの空気が凍りついた。


「くるぞ!」


 俺は拳を握りしめ、仲間たちに警戒を促す。


「こんなの、まともに戦って勝てる相手じゃない……!」


 ミラが息を呑む。しかし、俺たちにはもう後がない。


「やるしかない!」


 アリシアが剣を振るい、一気に魔物へと突進する。その刃が閃光を放ち、魔物の硬質な表皮を切り裂こうとする——が。


「効かない!?」


 魔物の表面は、まるで鋼のように固く、アリシアの斬撃をものともせず弾き返した。


「なら、魔法で!」


 ミラがすかさず詠唱を始める。


「《フレイムバースト》!」


 燃え盛る炎が魔物を包み込む。しかし、炎が収束すると、魔物は傷ひとつ負っていなかった。


「……嘘でしょ!?」


「なんて防御力だ……。」


 レオンが歯を食いしばる。


 その時、魔物の体が不気味に発光し始めた。


「何かくるぞ!」


 俺が叫ぶと同時に、魔物の口から黒いエネルギーが放たれた。


「《プロテクションバリア》!」


 ミラがとっさに防御魔法を展開し、なんとか直撃は防ぐ。しかし、圧倒的な衝撃により俺たちは吹き飛ばされた。


「くそっ、どうすれば……!」


 俺が立ち上がると、ふと、体の奥底から奇妙な感覚が湧き上がってきた。


「この感覚……?」


 俺の手が淡く輝き始める。まるで、新たな力が目覚めようとしているかのように。


「陽一……?」


 アリシアが驚いたようにこちらを見つめる。


「もしかして……俺、何かできるかもしれない……!」


 仲間たちが俺を信じ、再び戦闘態勢を整える。


「よし……やってみるか!」


 俺は未知なる力を解放し、魔物へと向かっていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る