白と黒の姫
あさひ
第1話 邂逅という衝突
朝日が眩しい
いつもどおりだが今日はより日出っている。
「あちぃ……」
アイスの棒きれを片手に
空を仰ぐ制服の少女
短髪でキリっとした目つきだが
優しさを湛える凛とした表情だ。
屋上で太陽を睨んでいる
ふいに屋上に続く扉が開く。
「なんだぁ?」
ぎぃーという音が響き
金髪だったり茶髪だったり
見た感じがヤンキーといった風貌
あからさまにサボっていた。
「おまえらかぁ」
「あっ! 頭目じゃないっすか?」
「買ってきたか?」
「これで合ってるっすよね?」
購買の袋から漫画雑誌と炭酸飲料が
取り出されると見える位置にかざす。
「よく買ってきた!」
「えへへっ」
子分のような取り巻き達は
アイドルを目の前にしたかのように
デレデレとし始めた。
屋上で空を仰ぐ少女は
どっちかというと美少女でしかない。
この学園では
美少女の側に居れるという理由だけで
ヤンキー側に与する連中が絶えなかった。
美少女は降りてくると
扉の後ろでモジモジする女生徒に気が付く。
「ん? 新入りか?」
「階段の下でずっといたんすよぉ」
「名前は?」
「白姫美夏≪しらひめみか≫って言います」
「言い名前じゃねえか」
「あっありがとうございますっ!」
素直で品のある少女
言葉の一つを発するたびに敬意が見て取れた。
一言で品行方正
もう一言で清廉潔白という印象である。
「なんでこんなお嬢さんがうちに?」
「確かに理由が知りてぇなぁ」
「ここをクソヤンキーから奪還しに来ました」
「クソヤンキーを…… ん?」
全員が耳と目を疑った
そして次の瞬間には
取り巻きの二人が倒れていた。
「は?」
次々と取り巻きのヤンキー達が
保健室に用事が出来る。
「なっ? なにもんだ?」
「生徒会執行委員の代行を務めます」
「あのババアの手下かっ!」
「そうですねぇ」
「無駄な足掻きだな」
「あと悠理事を呼び捨てにしないでいただけますか?」
「なんでだよ」
「娘だろうが何だろうが口を正せって聞こえねえか?」
むはや買い言葉に売り言葉で
喧嘩が始まるしか得ないことになった。
「まあいいや」
「力で決めましょうね」
「上等だなっ!」
炎天下の決闘が幕を開けた。
二時間後
汗だくの可憐な美少女達が
二人並んで寝ころんでいる。
「おっ…… お前……」
「強いですね……」
へへっと笑い合うと
横手に拳をぶつけ合った。
「気が合うじゃねえか……」
「友達になれたなら良かったんですがね」
息を整えた白姫美夏は
颯爽と立ち上がり手を伸ばす。
「すまねぇな」
起き上がったヤンキー少女は
自己紹介を始めた。
「私は帝姫夏≪みかどひめか≫」
「知ってますよ」
「そう…… ん?」
「私のことを美夏と呼んでもいいですよ」
「いいのか?」
「その代わりに今日からよろしくお願いしますね」
「代わりに?」
「姫夏は本時刻をもって生徒会執行委員補佐になります」
一瞬で空間が止まる
というより頭自体がフリーズした
数秒後にようやく開口する。
「なんで?」
「悠理事からの任命です」
「拒否権は?」
「あるわけないですね」
あんぐりと口を開けると
美夏は微笑みながら耳元で囁いた。
「頼むぞ…… 相棒さん」
これが生徒会執行委員の一年の始まりである。
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