ヘルプ・ミー
どこからか分からねえが俺の人生、狂ってんだ。どこからか分からねえが、俺の精神、狂ってんだ。サムボディー・ヘルプ・ミー。誰か助けてくれ。誰か助けろって言ってんのが聴こえねえのか、馬鹿。
俺は岩下隆、職業、敵役。業務内容、人に嫌われること。どんな因果か分からねえが、俺は町中の人々から嫌われるようになった。居酒屋に行っても、八百屋に行っても電気屋に行っても、白い目で見られるのは、辛えよ。マジで。
どこからか分からねえが俺の感性、狂ってんだ。どこからか分からねえが、俺の運命、狂ってんだ。サムボディー・ヘルプ・アス! 誰か俺たちを助けてくれ! 敵役達の夜は、便所の行列みてえに、長い。
『ああ、俺はどないしたら救われる言うんやろ。俺の言葉はどこまで行ってもマガイモノや。水にいれたらプカプカ浮いてまう、そんな贋金や。ああ、俺を救ってくれや。カミサマ、今日は俺は二人掛けのバスの座席に一人で座る仕事をした。今日も俺は、だれかの敵や。ああ、ああ。俺はどないしたらええんや。なあ、せめてものサービスに、カミサマ、俺の、話を、聴け』
どこから分からねえがこの町は狂ってんだ。悪事を重ねすぎた敵役は、いずれ化物として魔法少女にブッ倒されるらしいぜ! ああ、そりゃあ快い悪夢だ。俺は、どうすりゃあ救われるんだ? なあ、どうすれば地域コミュニティの一因になれるんだ! 俺が!?
なあ、カミサマ、聴いてくれ、轢かれゆく俺の挽歌を。なあ、もう俺は形而上的なものにすがるしかやりようがねえんだよ! 誰か、誰か助けてくれ。誰か助けろって言ってんのが聴こえねえのか馬鹿!
俺にとっちゃ魔法少女は化け物みたいなもんだけどよ、俺だってそんなヒーローになってみたかったぜ、オトトイ来やがれってか。来世まで待てってか。中年男性に魔法少女は、無理だよなあ……、さすがに。この町はブサイクだ。俺みたいに、キライな町だ。
反歌
きらきらと夕焼けの赤は臓物の色俺よ正義の贄として死ね!
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