第29話 トシキ障害者文人の紹介。人はあてにはなりません。
人はあてにはなりません。何度も騙されれば凝りますね。噓も何度も付かれたし、ごまかされたし、逃げられたし、あまりいい思い出はありません。やっぱり、自分の考えで、生きるのがいい。いまだに人の良さがわかりません。自分でいいと思ったことがいい。僕はこれがいいや、と思えばそれに尽きる。
学校には、先生がいます。僕の考えを否定する人です。僕の考えを奪う人です。どうやら先生の言うことを聞かないといけないようですね。僕は、先生の言うことをよく聞く学生でした。自然と優等生になりました。そうなると、男子生徒に嫌われます。女子生徒におもちゃにされます。いいことがありませんでした。リーダーになりましたが、誰も協力者が現れません。みんな自分の事で逃げてばかりです。早くから、僕は孤独になります。両親は仕事で精一杯です。僕と弟を人の家に預けて仕事に向かいます。僕は頼る人がいません。弟は僕に頼る。「にいちやん、苦しい。」弟は小児ぜんそくでとても苦しんだ子供でした。僕は、雪道を、顔を真っ赤にして喘ぐ、弟の手を引いて、家に帰ります。僕は妄想します。
「僕の本当のお父さんとお母さんは、どこか遠くのお城に住んでいて、王様と女王様なのだ。僕はそこの王子様なのだ。」
空に架空の世界を思い描きます。生まれながらに安心する居場所が空でした。太陽が好きでした。弟は僕に頼り、両親も僕に頼ります。責任が僕に重くかかりました。クラスのリーダーの責任もかかります。先生は僕に任せます。僕の心は押しつぶされそうです。自然と、口を閉ざしました。チョコレートを毎日食べてしのぎます。僕の麻薬でした。神経を鈍らせることを覚えます。女の子がうわさをします。「あたし喋らない人嫌い。」ストレスがかかります。中学卒業後、決意します。
「もう、真面目に生きるものか!」
これが大きなあだとなることが、高校時代に、無口で、うわの空で、鬱の、全く楽しくない時代の始まりでした。両親は、「勉強しなさい。」とこれしかいいません。何回も何回も僕の顔を見るたびに、同じ文句を言います。僕は、毎日チョコレートに頼ります。幼い頃から、両親に甘えることを知らずに育った僕は、高校卒業後、「自殺学入門」という本を持って、東京に上京します。ふるさとの僕は死んだ。僕は、二度と、帰らない。浪人一年後に、夜間大学に入学します。彼女ができました。僕は言います。「僕は、除籍したい。」
僕は、愛も何もない、ただ僕に責任を負わせるだけの両親が大嫌いでした。ただお金は出してくれました。何事も、お金で決着をつける両親でした。お母さんは、言います。「お金は汚いのよ。」お父さんはケチで、僕がどんなけ、お金に困っても一円も出しません。しかし、お金に厳しかった父のおかげで、無駄づかいはしない僕になりました。ギヤンブルの良さがわかりません。お金は自分で働いて稼ぐものと、自然と覚えました。夜間大学は、昼間、印刷工場で働き、夜に学問をします。しかし、僕は、大学へは行かずに、バンド活動に明け暮れます。上京、3年後には、東京のライブハウスを巡るようになります。僕は、エレキギターを担当しました。バンドのボスになります。バンドを率います。当時のカセットテープがあったのですが、今はどこかへ消えてしまいました。
しかし一年後、バンドが暗礁に乗り上げます。悩んだ僕は、ボロアパートの一室に引きこもります。印刷工場もやめて、大学へもいかずに、東京完全孤独に陥ります。ただふるさとからは送金があった。やがて僕は気が狂い始め、ある晩クリスマスの夜に、渋谷で、奇行パホーマンスをしてしまい、警察に捕まり、精神病院に搬送されます。心の病でした。両親が嫌いになると心がくるいます。しかし分かっていても、僕は、いまだに両親が嫌いです。それは、愛が分からないからです。感じたことがありません。ただ、お金だけは分かります。それだけです。誰か、僕に愛を教えてくれませんか。人が信用できなくて、おびえる今晩もです。精神疾患と、喘息に苦しむ今夜もです。煙草が離せません。心が苦しくて仕方がないからです。愛さえ分かればいいのに。人はあてにはなりません。
でも、今、グループホームに友達の浩くんがいます。彼との夜の夜会は楽しいです。彼は、入退院を繰り返した頭のいい、男らしくて、強くて、やさしさに満ちた男だからです。苦しむ僕に寄り添ってくれるからです。彼は、命のアシスタントです。親より大事な人です。しかしいつか、浩くんとも別れるのだろうなと思います。どちらかの死、人の死別まで行くといいのにね。
今、巷に、盛んに成功したい人が増えています。どうでもいいわ。己の成功なんて。僕には己の戦いしかありません。僕は、ただ、楽しく、長生きしたいです。うるさいやつは、めんどくさいから、すっこんでいろ。失せろ!僕は書きたいんだ。心の救いです。人に受けようが受けまいがどうでもいい。書くと落ち着く。
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