第27話 エクワイアが、ディスコ!

今夜も、ミセス・ジェリーの経営するジャズバーのエクワイアが、オープンする。

昨夜の殺人チームのエクワイアメンバーは、一日で、様変わりして、いつものジャズバーの店員になった。


月の出ている夜の楼蘭の街中、トムが、店先の看板のスイッチを点けて、店回りを掃除する。Hは、モップでのフロア拭きをする。

ジョンは、ステージのバンドメンバーの助手をして、シンディーは、カウンターでお酒の準備をする。


表から、店に、お客が入ってくる時刻になる。大柄で、革ジャンを着た太った男たちや、スーツ姿の男性や、赤や白やピンクのドレスをまとった女たちが、ほとんどだった。みんな、ジャズバーの雰囲気と演奏が好きである。ジャズを聴きながら、バーテンダーのトムは、スクリュードライバー、ソルティー・ドック、ブルー・ハワイ、ポンペイサファイアなどといったカクテルをカウンターで、お客に振舞う。


突然、ジャズバンドのステージに、ひとりの女性がのし上がり、ピンクのセンスを片手でフリフリして踊りだした。女性は、化粧の濃い満面の笑みで、ジャズの演奏に合わせて、体をくねくねさせて踊っている。そして叫ぶ。

「ハーイ!みんなも、踊って!」

テーブルに座っていた男が、ひとり、また、ひとりと、立ち上がってフロアで踊る。女性は、センスをフリフリ踊りまくる。ジャズマスターはその様子を見て、バンドの曲調をアップする。次々と、お客様が、フロアで、体をツイストさせて踊りだす。

ついに、エクワイアは、古き良きディスコになった。

そんな中、カウンター席で、静かに見守る男客がいる。

Hは、その男に気づいていた。



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