第3話 楼蘭の職業。
楼蘭の街は、近くに、「ロブ・ノール湖」があった。
街の人々は、ロブ・ノール湖から、水資源を得ていた。
ℍとマリーは、その湖のほとりに、テントを張り、
当面は、そこに住むことにする。
ℍが、街に、職業を見つけるまでだ。
まず、ℍは、職業を探しまわる。
あたりを、見まわしながら、街中を、歩いていくと、ある一軒の店先に、
求人募集の張り紙があることに気づく。
ℍは、近づいて行って、見てみる。
その店には、ジャズバー「エクワイア」と、
デザインされた看板が、掲げてあった。
ためらうことなく、ℍは、店の扉を押した。
店内は、奥に、ドラムとか、ベースとか、サックスとか、ピアノとか、そんな楽器類が並んでいる小さなステージがあった。
ℍが、ステージで、床をモップで、掃除している店員に歩み寄り、
「オーナーに合わせてくれませんか。」
と、店員に言うと、店員が、ℍに、
「ついて来い。」
と言う。ℍは、店員の後について行く。
この店のオーナーのいる部屋の扉を、
その店員がノックして、確認を取り、ドアを開けると、
オーナーが、デスクの椅子に、座っていた。気付いたオーナーが、こちらへ椅子をずらして体を、ℍに向けて椅子に座る。
オーナーは、黒いガウンを着た、すらっとした、髪の長い美女だった。
店員は、ℍを、オーナーに促した。ℍは、オーナーに、深々とお辞儀をする。
オーナーは、
「わたしの名前は、ミセス・ジェリー。」
と、言った。ℍの今の姿を見たジェリーは、頷いて、すぐに、ℍに説明を始める。
「この店は、毎週月曜日が休日。毎日8時間の上に残業をしてもらうわ。
それから、仕事は、主に、給仕、掃除、調理、演奏者たちの接遇、慣れたら、お酒も作ってもらうわ。それから、闇仕事が、少しあるわ。それもやってもらうわ。いい?」
ℍは、闇仕事が気になったが、ジェリーの言う条件をのみ、
「私をこの店に雇ってくれませんか。」
そう、 オーナーに、お願いすると、
オーナーは、
「じゃあ、明日夕方4時から、来なさい。」
と言うので、
ℍは、頷いて、承諾する。オーナーに契約書を書いて提出する。
ℍは、店を出る。
通りの砂埃が、風で舞い上がる。
闇仕事もやる店に雇われることになったℍだった。
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