なんかいたってアイドル!

そうじ職人

第一幕 野毛坂13(サーティーン)

「いやいや、野毛坂12トゥエルヴでしょ!」

 隣でサイリュウムを振り回していた友人は、そんなことを言っていた。


「そうだよな。トゥエルヴなのに、13人いる訳ないよな」

 俺は白いサイリュウムを片手に呟いた。


 改めてステージ上を見詰める。

(一人、二人、三人……十三人!)


「それに白いサイリュウムって、ダレ推しだよっ!」

 友人は俺に声を掛けた。


 コンサート会場の熱気は最高潮だ。

 怒鳴るくらいでないと、隣にも声が届かない。

 ステージ上で、色鮮やかな衣装で舞い踊る歌姫たち。


 いい曲だなぁっと思いながらも、センターでキレッキレのダンスを披露し歌う、白いアイドルに目が釘付けになっていた。

 だから、数あるサイリュウムの中から『白』を選んだのだ。


 友人には申し訳ないって思いながらも、実はこのユニットのことを詳しくは知らない。

 知ってるのは、横浜のアイドルユニットで人気急上昇中ってことだけだ。

 だからセンターで歌っている、あの子のオリジナルカラーは『白』だって思い込んでいたのだ。


(それにしても、どの子が控えのメンバーなんだろう……)


 きっと何らかのアクシデントか事情があって、一人多く壇上へ上がってるのに違いない。

 その時は、そんな風に考えていた。

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