第3章 「父親との離別」

その代わりといっては何だが、今度は父親が体調を崩し、その病名を聞いた時、ある意味での「覚悟」はできていた…つもりだった。

人間というものは、いざとなると弱いもので、「その時」が来た時はしばらく口もきけなかった。

ただ、父親が最後に送ったショートメッセージには「はな」と一言だけ書いてあった。

そして、葬儀等一切が終わり、遺骨を自宅に持ち帰り、私が


「はな、父さん帰ってきたよ」


というと、「はな」は背筋をピンと伸ばして亡き父親の遺骨を迎え入れた。

父親が何を考えたのか分からずに自宅で保護してくれたことを始まりに、色々と面倒を見てくれたことに対する「はな」なりの「御礼の形」だったのかも知れない。


先ほどの携帯電話は今でも残っている。もはや動かなくなっていたとしても。

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