第43話 魔王に惹かれる女王、そこに勇者も参戦!?

「はんりょ…」


 たった今アマンダからコリンへと、発せられたをアリナは小声で呟いていた。


「(今あの女王コリン君に告白した!?伴侶ってアレだよね!?年齢的には900歳で女王の方は20行ってそうだから法律的にOKだよね!?異世界の結婚に関する法律は知らんけど!)」


 色々な思いが頭を駆け巡る中、とりあえずコリンにアマンダが結婚を申し出た事は理解する。



「はんりょ…って、結婚…!?」


 こう見えて900年生きているコリン、伴侶については知っていたが、自分にそれを求める事に彼の顔は珍しく動揺を見せる。


「えっと〜…僕達出会ったばかりだし、お互いまだよく知らない事あまりに多いんじゃあ…」


「そんなものこれからじっくりしっかり知っていけばよかろう?」


 戸惑うコリンに対して、アマンダは口角を上げて彼を見つめる。


「迷わず行動を起こし戦を静め、小さな体で勇猛果敢…数多くの男を見てきたがお前のような者は初めてだ」


 アマンダの見てきた男は、全員自分が惹かれる程の魅力を持つ者ではなかった。

 なので男に興味は無かったが、コリンの事は見ていて惹かれてしまう。


 国を救った礼として言っている訳ではない、純粋に好意を抱いての事だ。



「(うーん、おねショタな美味しい展開は良い!良いんだけど〜…何かモヤモヤするなぁ)」


 アマンダに言い寄られているコリンを見て、アリナは内心で複雑に思っていた。


 そのジャンルの作品を元の世界で見て、日々の活力にしている程に好きだが、コリンが取られて自分から離れるというのは嫌だなと、内側のアリナは頭を抱える。


「あの〜女王様?その子は魔族で魔王なんですけど立場的に大丈夫ですかー?色々問題が起きるかもしれないですし」


「種族など愛する心があれば関係あるまい?聞けばコリンは人や魔を問わず自由に暮らせる世界を目指すと聞く」


 アリナの言う問題にも、アマンダは愛があれば大丈夫で乗り越えられるだろうと即座に言い切っていた。


「ならば種族の違う者同士が結ばれても許されるだろう?何者だろうがコリンへの気持ちは変わらん」


 魔王でも関係無い、そう言わんばかりにアマンダの気持ちは僅かも揺らがず。


「(やべ、この女ガチだ…!)」


 女王の想いを聞いてアリナは本気で、アマンダがコリンを好きだと感じた。

 こうなると肝心のコリンはどう思ってるのか気になる所だ。


 アリナの視線が小さな魔王へ向く。


「コリン君は結婚受けちゃうの?」


「いや、急に言われても〜…」


 お互いをよく知らない、それで結婚は早すぎるのではないかとコリンは思ったが、ハッキリ駄目だと断ってアマンダを傷つけてしまうのではないかと、返答に困っていた。


 だが何時までも黙っている訳にも行かず、意を決して女王と向き合う。



「今すぐに伴侶はちょっと無理だけど、友達として仲良くするじゃ駄目かな?」


「まずは友人から始めようという訳か。よかろう、改めてよろしく頼むぞコリンよ」


 コリンもアマンダと仲良くしたいと思って、友人になるという事を提案。

 それに了承し、魔族の王と人間の女王が友人関係を此処に結ぶ。


「(あ、まずはお友達からで徐々にステップアップしていくヤツだ)」


 今は友達同士、だが友情から愛に変わるケースもあるので、この2人がカップルになる可能性は充分あり得るだろうとアリナは見ていた。



「俺らは何を見せられてんだろうなぁ?」


「う、うーん…とりあえずコリンってモテるんだなとは思ったよね?」


 一方で、すっかり蚊帳の外と化してきているマルシャとカリーノ。


 コリンの肩から降りて、カリーノの側まで来れば白猫は魔王の珍しく困る顔を眺める。



「お前達も疲れただろう、今宵は我が城で休んで行くと良い」


 今日一日だけで色々あって沢山行動してきた、コリン達はアマンダの好意に甘え、エノルム城で一泊する事が決まる。


「時にコリン、お前は何が好きだ?大抵の物は用意出来るぞ」


 するとアマンダはコリンの食の好みについて尋ねて来た。


「美味しい物は何でも好きだよ?人間と食べる物は変わらないからさ♪」


「そうか、あまり好き嫌いは無いのだな」


「(あたしらも居るんだけどなぁ〜、この女王コリン君にしか聞かないし)」


 親しげに話しかけるアマンダに、笑顔で応えるコリン。


 その様子をアリナはじぃっと伺っていく。



 食堂に移動した一行の前に料理が運ばれ、鳥を丸々1羽焼いた丸焼きにチーズとトマトのサラダ、細かくカットしたジャガイモや人参に玉ねぎといった野菜や鶏肉をじっくり煮込んだシチュー。


 食欲を唆る匂いに空腹が良いスパイスとなって、コリン達の食は進み美味しく食事をいただいていた。

 ちなみに、マルシャだけはミルクのスープが用意されている。


「こっち美味いぞコリン」


「食べてるよ〜」


 食事中もアマンダはコリンへ積極的に話しかけ、隙あらば交流を深めようとしていた。



「(うーん…やっぱコリン君は取られるの嫌だな、よし)」


 親しそうな2人の様子を見て、アリナは鳥肉を食べながら決心する。


 そのジャンルは好きだがコリンを取られたくないという思いが、自分の想像以上に強かった事に今日気づいた。





 ーーーーーーーーーーーーーーー


 此処まで見ていただきありがとうございます。


 恋愛の行方はどうなっていくのか気になったり、この作品を応援したいとなったら、♡や☆☆☆の横にある+ボタンをポチッと押したり、作品フォローしてくれると凄い嬉しいです。



 アマンダ「フフフ、コリンは美味しそうに食べるなぁ」


 コリン「そう〜?」


 アリナ「はいそこ、あとがきまでいちゃつかないー!あ、次の話はおねショタ要素が結構強めになっちゃうかもなのでー」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る