3話 さっぱり!ヘルシーサラダ③

 とろりとろりと慎重にボウルにオリーブオイルを入れていく。

 やっぱり軽量スプーンがないと心もとない。


「本当に計量スプーンって大切だよねえ……」

「ごめんなさいね、ケイリョウスプーンも何かわからなくて」

「大丈夫ですよ!目分量でも料理は十分できますが、今回は私だけが食べるんじゃないので、正確に計りたかったんです」

「ケイリョウスプーンは正確に計るためのものなのね、チヒロさんはなんでも知ってるわね」

「そんなことないですよ~」


 さっき、ケイリョウスプーン?と言われた時はヒヤッとしたが、なんとか4つのボウルにオリーブオイルを入れ終えてホッとする。

 お次はレモンだ。菜園からリッタ夫人に採ってきてもらったまんまるいレモンを見つめる。

 本当に育ちがいいな、そう思いながら真っ二つにレモンを割るように切る。

 断面からはみずみずしい果汁が今にも溢れそうだ。

 私はじゅるりと思わず出てきた唾液を押し込みながらボウルに3滴ほどを垂らしていく。


 垂らし終わったレモンは凍らして保存する。

 そうすることによって、後にスイーツや酢の物のアクセントとしてすりおろして使うことができるのだ。

 食材を無駄にしない。それがじいちゃんの教えだった。


「すみません、これ凍らせておいてもらってもいいですか?」

「いいわよ~コーンはこれぐらいでいいかしら?」

「完璧です!ありがとうございます」


 リッタ夫人がレモンを持って行った先はなんの変哲もない木箱だった。

 それを開けるとひやっとした冷気が伝わってくる。

 これは『無限拡張保存魔法』と『氷魔法』を融合させた日本でいう冷凍庫の役割を担っているものらしい。

 収納に制限もなく、入れた状態のまま保存し続けることができるものらしく、これもまた『魔法の核』が関係しているそうだ。


 リッタ夫人が炒めてくれたコーンをパラパラと入れ、クリームチーズに取り掛かる。

 ここでは、水牛の乳がポピュラーだそうで、もったり重たいのが特徴だ。

 クリームチーズをスプーンで半分ほどとり、4つに分けてぽいぽいっとボウルに入れていく。

 その上に、瓶の底ですりつぶした黒胡椒をパラパラとかける。

 最後に、卵黄を乗せて。


「これでさっぱりヘルシーサラダの完成ですっ!」

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