始まり
第Ⅰ章 第2話
事の始まりは、彼等が森に向かう一週間前のある一日だった。
ここはブーゲンビリアエリアの一角の一等地に立つブーゲンビリア伯爵家。
そこには予想もしていない客人が来た。
だが、ブーゲンビリアは、この伯爵家に出入りする人間は多い。
だから、客人が来る事は別段、この家には稀な事ではない。
では何故、予想もしていないかと言うと彼女の身なりだ。
彼女はお偉い方が住む居住区・ブーゲンビリアの住人ではなく、貧民層が暮らしているエリア・イーストエンドの人間だ。
屋敷にイーストエンドの人間が来るのはそこまで多くない。
「それで貴女は何故、私の元に?ブーゲンビリアの人間なら屋敷に出入りしていても何ら不思議には思いませんがイーストの人間が何故、私の元に?」
現時点での屋敷の主であるブーゲンビリア伯爵の爵位を持つエドワード・ブーゲンビリアは穏やかな口調でそう聞いた。
「あの・・・医者であるカミュ様からお聞きしました。ブーゲンビリアエリアに住むブーゲンビリア伯爵様は誰にでも寛大で民の問題を解決して下さると」
女性はそう言った。
カミュとはこのイギリスで有名な医者・カミュ・ブランシュの事。私とも関わりが無い訳では無い。
「あの男は・・・。
医者からとは、貴女か貴女の親族がご病気で?」
私は女性にそう聞いた。
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