時間を逆行する襲撃者

 突如として現れたのは、全身黒い戦闘服に身を包んだ特殊部隊。


 彼らは確かに進行していた。しかし、その動きは普通ではなかった。


 彼らは――『時間を逆行』しながら、戦闘をしていたのだ。


 「っ……な、何!? アイツらの動き、逆再生みたいになってる……!」


 銃声が響き、取引相手が次々と倒れていく。しかし、よく見れば、彼らは撃たれた後に倒れるのではなく、撃たれる前に動きを変えていた。


 まるで、未来の出来事を知っているかのように。


 「おい、ルナ! 逃げるぞ!」


 遠藤が彼女の腕を引っ張る。しかし、ルナは目の前の異様な光景から目を逸らせなかった。


 弾丸は逆行し、倒れたはずの男たちが巻き戻されるように立ち上がる。戦場はまるで時間が乱れる映画のワンシーンのようだった。


 「こいつら、未来の……」


 ルナが呟いた瞬間、特殊部隊の一人が彼女を見据えた。


 「回収対象を確認。即時奪還する。」


 ルナの手元のケースに視線が向く。彼らの狙いは、間違いなくこれだった。


 (……この装置、一体何なの!?)


 混乱の中、彼女は直感的にケースを抱え、倉庫の奥へと走り出した。


 しかし、時間を逆行する敵が、彼女の逃げる道筋を先回りしていた。


 時間と戦う逃走劇が、今、始まる――。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る