第6話
ギリギリセーフ!
本当にギリギリだった。あともう少し点数が低かったら補習を受けるところだった。それもこれも委員長と新色と久田ちゃんのおかげだ。あの3人がいなかったら俺は確実に補習を受けるところだった。
俺は3人に聞いてギリギリだったのに早乙女は誰にも何も聞かずに学年で20位くらいになってやがった。これだから主人公は…。たまにいるよね、結局何でも出来るやつ。羨ましいよ、あいつと比べたら俺がどれだけ低スペックかが分かる。
比べちゃダメなのは分かるけど隣にいるとどうしても比べてしまう。あと、あいつイケメンでもあるんだぜ?…羨ましい。
それにこれからヒロイン達とイチャイチャするんだぜ?くぅ〜どうして俺を早乙女に転生させなかったんだよ!あのクソ女神め、また腹が立ってきた。
「ねぇ」
俺が早乙女への嫉妬を燃やしてたら超絶美人な新色が声をかけてきた。今日も生きてくれてありがとう。
「どうしたの?」
「私…、部活に入ろうと思うの」
キターーーーー!!!
フミちゃん先輩のイベントがとうとうやってきたーーー!!!こっちは新色のこの言葉でこのイベントが発生するのを知ってるからね。これでやっとフミちゃん先輩に会える!
…ん?ちょっと待って。
新色はどうしてそれを俺に言ったんだ?その言葉は早乙女に言って発生するイベントなはずなのに。
…あれ?またズレた?また原作からズレたのか?
落ち着け!たかが「私、部活に入ろうと思うの」これだけの事だ。俺がやらかしてきた事を考えるとこれで済んだだけでもマシと考えた方がいいかもしれない。何ならそれすら言わなかった可能性すらあったからな。
大丈夫だ、それが俺か早乙女かなんて大した差は無いと思うし、思いたい。早乙女に照れちゃって言えなかった可能性も十分にある、水野祥太には言いやすいもんね。
「…どうしたの?」
俺が考え込んでいると新色が心配そうに声をかけてくれた。
「何もないよ!それよりも何の部活に入るの?」
「オカルト研究部気になってたの」
よし、ここは他の部活を言ってこなかったな。
「オカルト研究部?あーあの厨二の人がいた所ね」
「そうそう」
「どうしてオカルト研究部に入りたいの?」
「人数が足りなかったら潰れるって言ってたから」
「そう言えばそんな事言ってたね」
「そう、それに部活に入ってみたかったんだ!」
「良いと思うよ!じゃあ何人か誘ってから行こっか!」
「うん」
もちろん誘う奴は最初から決まってる。早乙女と久田ちゃんの2人だ。確か、原作は早乙女が水野を誘って、新色が久田ちゃんを誘ってたはずだ。だから、俺は早乙女を誘うことになるな。
「いけそうなのは…早乙女とハルカちゃんか。じゃあ俺は早乙女誘ってくるね」
「じゃあ私は久田ちゃん誘ってくる」
そう言って俺と新色は別れた。
暇そうにしてる早乙女を発見した。相変わらずイケメンでムカつく奴だ。
「コスコース」
「ヤンヤーン」
いつまで俺らはこのあいさつをやってんだ?
「部活に入りたいかー!」
「おー!!」
「じゃあ俺に付いてこーい!」
「おー!!」
こんなんで大丈夫なのよ、男に無駄な言葉は不要。ノリと勢いが大事なんだ。
「サラサちゃんの学校案内の時にオカルト研究部行ったの覚えてるか?」
「おお」
さっきは勢いとノリで誘ったけど、ちゃんと経緯を話しておかないとな。
「そのオカルト研究部が人数が少なくて潰れそうになってるのは覚えてるか?」
「ああ」
「サラサちゃんは優しいから何とかしたいし、部活に入ってみたいと。OK?」
「オッケー」
「で、人数が欲しいからお前とハルカちゃんを誘う事になった」
「理解」
話が早くて助かる奴だ。
「久田は今から誘うのか?」
「ううん、ハルカちゃんはサラサちゃんが誘ってくれてる」
「じゃあ待機って事すね」
「そういうこと」
「あの〜いつまで待たせる気?」
「大変申し訳ありません。もう少々お待ちください」
「なぁ俺あいつより先に注文したよな?その俺が何であいつより後なんだよ」
「本当に申し訳ありません。お客様がご注文された商品はお時間がかかる商品ですので」
「あ?言い訳ばっかすんじゃねぇよ」
「本当に申し訳ございません」
「何やってんの?」
久田ちゃんを連れてきた新色が呆れた目で俺らを見る。…久田ちゃんもか。
「せっかく待ってるんだから、待たされてイライラしてる客と店員さんやってた」
待ってる時間も有効活用しないとな。
「…そう」
喉から出かかった罵詈雑言をギリギリ飲み込んでくれた。
「じゃ、オカルト研究部に行こっか」
2回目でもオカルト研究部の部室を見るのは感動してしまうな。
…実は我慢出来なくて何回か来てました。何か間違えてフミちゃん先輩に会えるかもしれないと思ったけど、結局会えなかった。
会ったら原作がズレる可能性があったのかもしれなかったけど欲には勝てませんでした。どれだけ俺は欲に弱い人間なんだ。
「失礼しまーす」
俺が先頭を切ってオカルト研究部の部室のドアを開ける。
でっかいトンガリ帽子を被って机で大人しく本を読んでるフミちゃん先輩がいた。本読んでるだけなのに絵になるなぁ、フミちゃん先輩ロスだったから助かる。相変わらずビジュ爆発してて視力が回復する。
とりあえず産まれてきてくれてありがとう、存在がファンサと伝えたい。
「ん?あれ、君たち来てくれたんだ!」
俺たちが来てくれた事に気づいたフミちゃん先輩は俺たちの元へズンズンと近づいてくる。
あ〜そんな近く来られたら…俺、…俺、嬉しくて死んじゃうよ〜。
「嬉しいよ〜来てくれないと思ってたから〜」
嬉しいのはこっちで草。
「君が連れてきてくれたのかな?」
フミちゃん先輩は俺に尋ねる。
「はい!俺が連れてきました!」
…は?何?文句ある?フミちゃん先輩に褒められるならこっちは平気で嘘つくから。
「ありがと〜これでこの部活が潰れなく済みそうだ!」
フミちゃん先輩は俺の両手を取ってブンブンと振る。これがフミちゃん先輩の感情の表し方は可愛すぎる。
それより突然の握手会嬉しすぎる〜!!…え、ちょっと待って嬉しすぎて無理。
…これどうすんの?もう俺手洗えないよ。
「グェッ!?」
後ろからとてつもない力で首根っこを引っ張られた。
え、誰?男の力だったから早乙女の仕業か?でも、早乙女がどうして俺の首根っこを引っ張るんだ?
「嘘は、…ダメだよね?」
首根っこを引っ張った正体は新色でした。そんな事より多分怒ってるのに笑顔なのが怖い。嘘ついたの申し訳ないけどそんな怒る?
「あ、ごめんなさい。私が入りたいから連れてきました」
言わないでよ〜俺が嘘ついたみたいになるじゃん。フミちゃん先輩に嫌われたらどうするのか?
「…」
どうしよう?久田ちゃんが今までにないくらい俺を睨んでる。そんなにも嘘ついたのが許せなかったの?ちょっと前のタトゥーの嘘は笑ってくれたのに…。
「お、怒ってます?」
「…あ?」
「すみません」
ガチギレでした。
怖すぎたから反射的に謝ってしまったじゃねぇか。
「ここにいるみんなは入部希望って事で良いのかな?」
はぁ〜とうとう終わってしまうのか…。これっきりで俺がヒロイン達と関わりが減ってしまう。
でも、楽しかった。悔いはない。
「あの〜」
俺は恐る恐る手を挙げる。
「すみません。俺は入らないです」
ここで間違えてもやっぱり入りたいですなんか言ったらそれこそもう原作には戻れなくなってしまう。
「「は?」」
新色と久田ちゃんの声が重なる。
そして何とも言えないような気まずい空気に包まれた。
…どしたん?
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