距離感近めな幼なじみの好感度がいつの間にか限界突破していた件
マホロバ
第1話『ブレーキの壊れた日』
昨日、俺は失恋した。
相手はバイト先の先輩。彼女は昨日でバイトを辞めることになっており、最後のチャンスになけなしの勇気を振り絞った。
意中の相手を呼び出し、想いを伝え、そして断られた。
何の面白みも無いまま俺─
「はぁぁぁ……」
ベッドに横たわったまま盛大な溜息を吐く。
大学生にもなって失恋程度で凹むとは、我ながら何と情けないことか。
今日だって朝から講義があったが、当然のように全てサボってしまった。
「…こんな気分で講義なんか受けられるかよ…」
時刻はとっくに10時になっている。それでもベッドから出る気にはなれない。
光の無い目でスマホを眺めていると、インターホンが鳴った。
こんな時間に誰だよ…
「はーい…」
「よっ、サボりとか珍しいじゃん」
「何だお前か…」
ドアの向こうにいたのは、金髪に黒のインナーカラーが入ったウルフカットの美少女。
コイツは俺の幼馴染─
人懐っこく笑う口からはトレードマークの八重歯がチラチラと顔を覗かせている。
好美と俺は小学生の頃からの知り合いだ。不思議な偶然もあるもので、俺の交友関係の中では一番歴が長い。
今も同じ大学に通っている。今は講義時間だったはずだが…まぁどうでも良いか
「悪いが今日は帰ってくれ…人と話したい気分じゃ無いんだ」
「あー…もしかして何かあった?」
「あった、だから帰れ。後で落ち着いたら話すからさ…」
「ふーん…じゃ、お邪魔しま〜す」
「おい!話聞いてたのかよ!?」
「聞いた上で帰らないことにしたの」
「勝手な奴め…」
半ば無理やり押し入るような形で好美が部屋に入ってくる。
室内に入るや否や、好美はリビングのソファにどっかりと座り込んだ。
帰る気などさらさら無いと言わんばかりの態度だ。
それどころか隣をポンポンと叩いてこちらを見てくる。そこに座れってことか。
「…何の真似だよ」
「たまには凹んでる幼馴染を慰めてあげようと思ってな」
「余計なお世話だっての」
口では文句を言いながらも、俺は好美の隣に腰下ろした。
間を開けて座ったが、すぐに好美が肩を寄せてきた。
触れ合う肩から熱が伝わる。
その時、1人の時には感じなかった悔しさが胸の奥から溢れてきた。
目尻が熱くなる。俺は溢れそうになる感情に必死に蓋をした。
「…何があったかは聞かないけどさ、寄り掛かるくらいはしてよ。アタシらガキの頃からの付き合いじゃん」
「……フラれたんだよ」
「えっ?」
俺がそう言った途端、好美の表情が変わった。
そりゃそうか。俺は失恋で凹むような奴だとは思われてなかっただろうしな。
「フラれたって…もしかして例のバ先の先輩に?」
「そーだよ!盛大にフラれたよ!『そう言う対象として見てなかった』だってさ!あーチクショウ!チクショウ…」
「そっか…そうだったんだ…」
情けなさと悔しさが胸中を支配する。
そんな俺の隣で、好美は俯いたまま何かを確認するようにブツブツと呟いていた。
「それなら…じゃあもう…気にしなくて良いんだ」
「なぁ好美…俺は……っ!?」
瞬間、好美が俺を押し倒す。
訳もわからずソファに寝かされた俺の上に好美が馬乗りになる。
「いきなり何を…!」
「もうアンタに気ぃ使わなくて良いんだもんね」
「何の話しだよ!?」
「あのさぁ…アタシが好きでもない相手の為に講義サボって家まで押しかけるような女だと思ってる?」
「それは…俺が幼馴染だからじゃ…」
「アンタならそう言うと思ってた…だから──」
好美は馬乗りになったまま、ゆっくりと顔を近付け…
そのまま俺の唇を奪った。
「なっ!?」
「もう我慢しない…今まで我慢してきたアタシの大好きを全部叩き込んでやっかんな♡」
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