第5話 What your Name?

 「俺を異世界に転移してくれ。」


 「本当に良いんだな?」

 彼は覚悟を決めた男を前にし、もはや認めざるを得ないといった面持ちでこちらを見る。


 「あぁ。頼む。」


 「わかった。それじゃあ、その前に君に話しておくことがある。」


 「話しておくこと?」

 

 「祝福ギフトのことだ。」


 「祝福?」


 「あぁ、祝福とは召喚者が異世界転移を行う際に、三大世界への誘いを司る神からもたらされるものだ。その祝福により召喚者は特有力スペシャルを受け取る。特有力は絶対的に召喚者に使役されるもので、転移後世界の中でも有数の力が付与される。そしてそれは召喚者自身の適性と、召喚を行った者の適性によって変化する。つまり、君自身と君を召喚した者の特性が如実に現れる強力な力ってことだね。」



 なるほど。ただ転移されるわけじゃなく特別な力が付与された状態で転移するってことか。要はRPGゲームでいうところの初期装備ってところか?何にせよありがたい、転移後の世界がどういうものなのかはわからないけど、現代人がのうのうと暮らせる世界じゃない可能性もある。しかし、召喚者の適性が反映されるのはわかるが、俺を召喚した者の適性も反映されるのはどうもよくわからない。第一、俺を召喚した者が誰なのかも見当がつかない。だが、一度行くと決めた今、選択肢は一つしかないな。



 「祝福については理解した。それじゃあ転移を頼む。」


 「そうか、それじゃ武運を祈っているぞ…」



 「あぁ!待ってくれ!」

 俺の突然の静止により彼はギョッと驚いたようにこちらを見つめる。



 「最後に一つ、お前の名前を聞いてなかった。何かの縁だ、きっとまた会えるし、その時のために知っておきたい。」

 そういうと彼は少し驚いた顔をしながら、すぐに笑い出した。


 「それもそうだな!我輩の名はユウマ・ドルーヴィス!以後お見知りおきを!!!」


 


 そういうと、俺はユウマの切り開いた転移門に吸い込まれた。


ーーーーーーーーー


ーこれより祝福の授与を開始します。



 ー召喚者:山口隼人の属性適性をテストします。



 ー召喚者:山口隼人の属性は”風”および”土”。



 ー2属性をさらに統合し、上位グレーター属性”砂”を付与します。



 ーその属性に伴うスキルを取得、統合し、上位スキルへの獲得に成功しました。



 ー次に三大世界からの祝福により特別な力スペシャルを付与。



 ー第一特別力スペシャルは召喚者自身の適性に依存します。解析の結果、”非並々者ただならずもの”を付与しました。この力により、使用者はスキル”厳粛たる”を使用可能になりました。



 ー次に第二の特別力の付与に移行します。第二は、堕落者おちしものになります。この力により、使用者はスキル”使役たる”を使用可能になりました。尚、この力は召喚を行った者の適性に依存し、、、ま、、、、制御不能。制御不能。何者かの妨害により堕落者の獲得に失敗。繰り返します。何者かの妨害により堕落者の獲得に失敗。再度取得を挑戦する場合、身体への影響が大きすぎると判断するため祝福の授与はここで中断。



 ー召喚者:山口隼人を直ちに転移世界へ移送します。


 

 ー転移完了。召喚者:山口隼人はドレイク伯領スミノフの街に完全に移送しました。ここで、ワタシの役目を終了いたします。マスター。



 「隼人。君の活躍期待してるよ。”彼女の復活”を願ってる。だって、このままバイトしてても終わりが見えなきゃ労働基準法に違反しちゃうし、雇用主が破産しちゃうからね。我輩の単価は高いよ。」


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