第6話

「まぁまぁ、奢るから。」


と適当なことを言って、桜雅と窓際の席に座った。



校門からはちらほら卒業生らしき人たちが出てきた。


式はもう終わったのだろう。



「何?例の子に会いに来たの?」


ニヤッと笑う桜雅を無視して、俺は校門を見続けた。



一度酔った勢いで、教育実習先に息を呑むほど可愛い子がいたと、桜雅に言ったことを覚えていたみたいだ。



「そんなに可愛いのか?どれ?」


「お前には教えない。」


「わざわざ電車乗り継いでここまで付き合わせたくせに。」


「黙れ。」


「まぁ見ればわかるような気もするが、」



「あ、」



ちょうど校門付近で、友達と写真を撮っている彼女を見つけた。




「あの子か。」



桜雅にもバレたようだ。

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