第12話
自分が正しいと疑わないユーグが、恐ろしくて堪らない。
ティーナの知っているユーグと目の前の彼は本当に同一人物なのだろうか。
証拠もない罪状でティーナを拘束し続けることは出来ないし、男達を罰するとユーグの方が有罪になると優秀な王太子の彼なら当然分かるはずなのに。
「これでティーナが罪を犯すのを防げる。でも、この牢屋にいないとまた同じことの繰り返しになるかもしれないから、一生僕の牢屋に居るんだよ」
決定事項を告げるにこやかな笑顔にティーナは戦慄した。
無実の罪なのに死を迎えるまでここで暮らしていかなければならないなんて、ティーナには耐えられなかった。
窓のない閉塞感ある豪華な牢屋、動きを拘束する手錠。ティーナを捕らえて離さない狂気に満ちた青紫色の目。
衣食住に不自由はしないかもしれないが、自由もないのは言われなくても分かった。
目標に向かって頑張っていたのに、慕っていた相手にそれを踏み潰されてしまいそうになっている。
理不尽な理由で王妃になるのを諦めなければならないのなら、別の女性を好きになったと言われた方がまだ救われた。
嬉しそうなユーグと視線を交わし、緊張しながら唇を薄く開く。
「どうしてそこまで私を…」
───縛りつけようとするのですか。
最後まで言い切る前にユーグが愛おしいものを見るような、とろけた目をティーナに向けた。
たっぷりの愛情を注ぐその視線にこれまで胸を高鳴らせてきたが、今は素直に喜ぶことを拒んでいる。
あまい響きは、嫌な音へと変わってしまった。
「何を当たり前のことを言っているの。ティーを愛している、それ以外に理由がいる?」
ティーナを愛しているから、これ以上の罪を犯させないように手錠で動きを封じる。
ティーナを愛しているから、ユーグ以外の男の目に触れないように牢屋に閉じ込める。
全ては愛する婚約者のためだとユーグは一切の曇りのない顔で言い切った。
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