異世界侵略者によって領土を奪われ虐げられる主人公は、最強の魔銃を継承し成り上がる。エロいエルフとガンマン女とグレイ星人が仲間です。
三流木青二斎無一門
第1話
西部開拓時代。
この時代の名前は、史実とは異なるものとなった。
天を割く虹色の傷跡。
其処から飛来して来たのは、異なる世界からの開拓者。
銃火器が最高の兵器とされていた人類にとって、彼らの侵略は烈火の如く、略奪と支配が行われた。
人間社会の秩序と法律の枠外に居るもの、あるいは、この世界では無い何処か別の所からやって来た異物。
それら全てを統合し、異世界からの開拓者は、〈アウトロウ〉、……そう称される様になっていた。
二本足の肉塊を馬を遣い追い掛ける、一人の青年。
彼は、馬の上から、腰に巻いたガンベルトに携えた回転式拳銃を引き抜く。
じぐざくと稲妻の如く走り出す二足歩行の肉塊に向けて、青年は発砲した。
発砲と共に、二本足の肉塊に弾丸が着弾すると、紫色の体液を噴出しながら、その異世界産の生物が倒れる。
「ぐぎぃい……ぎぃぃい」
耳の奥を引っ掻く声が聞こえて来た。
最初は不快だと思っていた青年は、今ではその声を聞いても何も思わなかった。
ただ、町長に捧げる供物を手に入れる事が出来た、と安堵の息を漏らすだけであった。
「痛いか……?悪いな」
馬から降りる青年。
再び、回転式拳銃を至近距離で発砲し、一撃で生物の頭部を撃ち抜いた。
……生物の肉を模したこの異世界産の生物の名前は、確かスライム、と言っていた筈だ。
水辺に棲息するモンスターではあるが、このサンスレイストタウンの周辺には、水辺が無い荒野が広がっている。
湖や水溜まり場など行けば、そのスライムと言う生物は肉体が水に近しい透明色であるのだが、このスライムの主食は蛇や鼠と言った荒野に住む原産生物を好んで食す。
その為か、スライムは収斂進化を行い、筋肉に近しい肉質をしたスライム・マスキュラーへと変化。雑食であるが、部位によっては畜産の鳥や牛にも引けを取らない美味であると聞いている。
青年ですら、年に一度、食べる事が出来るかどうかの高級食品だ。
このスライム・マスキュラーは、青年が食べる為に獲ったワケではない。
全ては、サンスレイストタウンを支配する、アウトロウである町長に渡す貢物であった。
「ふう……」
サンスレイストタウンの木で出来た入り口に供物を置く。
麻袋に入れられたスライム・マスキュラーは、時間経過と共に肉体が弛緩していき、丸々とした肉体は液状化していき、赤々しい筋肉質の肉体は次第に黒ずんでいく。
なので、鮮度が重要であり、それを知っていながらも、青年は麻袋を置いた。
一日が直に終わりかけた今、背後から声が聞こえて来た。
「おい、キッド……フォウダンス・キッド」
フォウダンス・キッド。
それが青年の正式な名前だった。
その声に反応する様に視線を向ける。
麻袋を開けて、中身を確認する、青色の肌をした男が中を確認していた。
肉体がごつごつとした、岩石に色を塗った様な肌をしているアウトロウであった。
「……オーガ」
オーガ。
それは、彼らの種族の名前だ。
ゴリラの様に肥大化した筋肉、ライオンの様に尖った牙。
人間と同じ姿ではあるが、その肉体は百七十五あるキッドよりも大きかった。
彼らが、このサンスレイストタウンを支配するアウトロウの下っ端であった。
オーガは麻袋の中身を確認して、途端に額に青筋を浮かべる。
「なんだあ?こりゃ、オイッ!腐ってんじゃねえか!!」
声を荒げると共に、そのアウトロウはキッドに接近し、首を掴んだ。
咄嗟に、キッドはガンベルトに納めていた回転式拳銃を抜き放とうとしたが、無駄だと察し、理性を以てその手がグリップを握る程度で終わった。
しかし、もう一体のオーガがキッドの動きを見て面白そうに笑った。
「おいおい、こいつ、今豆鉄砲を抜こうとしたぜ?」
豆鉄砲。
キッドは歯軋りをした。
自らの誇りを馬鹿にされた様な気分であった。
オーガは、キッドの首を強く握り締めながら、不遜を敢て許した。
「なんだ?そんなチャチな道具で俺を殺す気か?いいぜ、やってみろ、おらッ!!やってみろよお!!」
叫ぶオーガ。
喉を潰される様に握られ、息が出来なくなるキッドは、我慢出来ずに、素早くガンホルダーから回転式拳銃を引き抜き、発砲した。
硝煙が散る、音と共に、オーガの胴体に弾丸が当たった。
だが……当然の如く、オーガは痛そうな表情すらする事無く、腹部に潰れた弾丸が付着するだけだった。
「痛くも痒くもねぇんだよ……このガキがァ!!」
オーガはそのまま、キッドを地面に叩き伏せる。
「ぐァッ!!」
衝撃により、上手く呼吸する事が出来ないキッド。
背中に激痛を感じながら、狭く呼吸を何度も行う。
「おいおい、殺すなよ?こんなガキでも、貴重な収入源だ、俺達の飯を取る家畜なんだからよ、だが、まあ」
オーガは笑みを浮かべた。
それは、キッドを下に見る視線だった。
オーガの腰に携えている道具、それをゆっくりと引き抜く。
それは、キッドが持つ回転式拳銃と似通った銃火器だった。
キッドの茶色の髪の毛を掴むと、顔を無理矢理上げさせて、銃口をキッドの口の中に突っ込むと、引き金に指を掛けた。
このまま、キッドが泣き喚くかと思った、だが、キッドは冷えた視線で見つめている。
死ぬ事など、恐怖しない、と言った挑発的な眼だった。
その視線に、オーガは舌打ちをすると、口に突っ込んだ銃火器を引き抜く。
「俺達が喰らう飯を腐らす様な真似はするんじゃねぇぞ、今回は許してやるが……」
オーガは、高く、麻袋を投げ飛ばした。
宙へと高く跳んでいく麻袋に、銃口を向けると共に引き金を引く。
本来、銃火器とは、鉛で出来た弾丸であり、黒色火薬によって爆発的な推進力を得て、銃口に刻まれたライフリングによって回転する様に射出されるものだ。
肉体に当たれば、その弾丸は肉体を穿ち、体内に残るか、肉体を貫通する威力を持つ。
しかし、その銃火器で発砲したと同時、麻袋は周囲に四散した。
まるで、麻袋自体に爆薬物が仕込まれていたかの様に、だが違う。
「これが、俺達の世界で造られた銃器・
魔銃。
特殊な材質で造られた銃火器の上位互換であった。
アウトロウは、超人的な身体能力を持ち、銃火器程度の弾丸では致命傷には至らず、それに加えて高度文明による技術によって造られた魔銃を駆使し、人類を圧倒した。
彼らアウトロウにとって、人類が棲息するこの星は、未開拓地の劣等種族に他ならなかった。
「さあて、今日は、どの女と遊んでやろうか?」
「劣等種族のメスに、俺達の優良遺伝子を注ぎ込んでやろうぜェ!!」
高らかに笑いながら、サンスレイストタウンへと入っていく。
アウトロウの為に作られた娼館へと足を運ぶのだろう。
既に、サンスレイストタウンには若い子供と女しか居なかった。
領地を護る為に、家族を守る為に戦ったガンスリンガーたちは悉く殺され、見せしめに全員吊るし首にされた。
今では、このサンスレイトタウンはアウトロウの為に奉仕する町になっていた。
「……くそ」
キッドは、膝を地面に突いたまま動かなかった。
悔しさが滲み出す、アウトロウに自分自身を馬鹿にされた事、それは別に良い。
だが……この回転式拳銃、父親の形見を、バカにされた事だけが、何よりも屈辱であったのだ。
父親はこの町の平和を守る
ピカピカに磨かれた星型の保安官バッジを胸に着け、年季の入ったうねりのあるハットを被り、馬に跨り、町を端から端まで、異常が無いかを確認する様な、真面目な保安官だった。
小さい頃からキッドは、保安官であった父親を誇りに思っていた。
当時のアウトローが町に訪れて酒場で暴れた時も、父親は臆する事無く立ち向かい、銃を遣い鎮圧をしたのだ。
町一番の射撃の名手だった父親から、キッドは拳銃の打ち方を教えて貰ったのだ。
尊敬する父親。
その最期は、アウトロウとの一騎打ちを申し出た時だった。
顔面に数字で「13」の刺青をいれたアウトロウと対峙した父親は、得意の早撃ちで決着を付けようとした。
だが、父親が銃を引き抜くよりも速く、「13」のアウトロウは魔銃を使役し、父親の肉体を半壊させた。
利き腕、胴体の半分、顔面が抉れる程の強力な魔銃の一撃によって致命傷を負った父親は、その状態でも辛うじて生きていた。
敗北を悟った父親は、死後、息子であるキッドを呼び、ガンベルトと、保安官の命とも呼べる回転式拳銃を渡したのだ。
『済まない、キッド、……生きて、くれ』
敗北した父親は、罪悪感で胸をいっぱいにしながら、息子に謝罪をした。
恥じる事など、一切ない、最後まで父親は町の為に戦った。
『父さんッ……死ぬな、死ぬなよお!!』
悲痛な叫び。
泣き声を漏らしながら、父親の頭部が吹き飛んだ。
最後の別れなどさせはしない、その様な意思を感じる「13」のアウトロウが、魔銃を使い父親を殺したのだ。
敗者に対する凶行に、キッドは怒りを抱いた。
町を滅茶苦茶にし、父親すらも殺したアウトロウを、キッドは決して許す気など無かった。
だが……父親の死から十年が経過した。
それでも、キッドは今を生きるのに精一杯だった。
回転式拳銃を使っても、アウトロウを倒す事は出来ない。
より強力な銃火器を使用しても、同じようなものだろう。
薄暗い帰路を、幽霊の様な足取りで歩くキッドは、どうすれば彼らを倒す事が出来るのだろうか、とそう考えていた。
「……普通に戦っても、あいつらを倒す事は出来ない、なら……〈
幼少期の頃から、キッドの脳裏に過る言葉。
アウトロウが持つ、銃火器の名称。
特殊な製法で作られた銃火器は、常人の世界を凌駕する威力を秘めている。
何よりも、アウトロウ達が武器として採用し肌身離さず所持しているのだ。
と言う事は、同じアウトロウでも十分に通用する威力だからこそ携帯していると言う証明になる。
しかし、魔銃を、どうやって手に入れるか、と言う問題点に衝突する。
アウトロウは魔銃を肌身離さず持っている、もしかすれば、町に離れた都市へと赴けば、魔銃を販売している可能性もあるだろうが、一定の距離から離れれば、アウトロウはそれを感知し追って来る、外に出る事は出来ない。
やはり、八方塞がりだ、キッドの頭では、どうすれば魔銃を手に入れる事が出来るのか、考える事が出来なかった。
「……っ?」
キッドの寝床。
サンスレイストタウンの住民が住む襤褸の小屋が羅列した場所だ。
その内の一つ、キッドの小屋の目の前。
其処に、雪崩れ込んだ様に眠る少女の姿があった。
滅多に拝む事の出来ない、花の様な色をしたピンクの髪だ。
薄汚い襤褸の布巾をドレスの様に着こなしている。
最初見た時、キッドは彼女が娼館から逃げ出した少女、かと思った。
しかし、彼女の首を見る、首には首輪が装着されていた。
如何に、娼館で強制的に働かされているとしても、首輪など付けたりはしない。
では、何故彼女には首輪が装着されているのだろうと、キッドは思った。
そして、彼女に近付いた事で、ようやく理解した。
「……エルフ、か?」
端的に言ってしまえば、彼女はこの世界の住人などでは無かった。
アウトロウが住む異世界の住人、それも、耳が長い種族と言えば、かなり限られている。
黄金に輝く髪と、鋭く尖った耳を見れば、それが〈エルフ〉と呼ばれる種族である事は明白であった。
「なんで……こんな所に」
キッドは近づく、そして彼女の体を抱き上げた。
意識があるのかどうか確かめる為に、彼女の体を揺さぶった。
しかし、そのエルフは一向に目覚める気配が無い。
「……」
ふと、キッドは視線を向けた。
襤褸襤褸の衣服を着ているエルフだが、その肉体の輪郭が浮き彫りになっていた。
肉体から察するに、其処まで成熟していないのだろう。
しかし、その肉体には女性として発達途中の肉付きをしていた。
襤褸の衣服を貫通する程に、鋭く尖った二つの乳房が浮き彫りになっていたのだ。
「……ぐっ」
思わず、キッドは生唾を呑んでしまう。
齢十九を超えるキッドだが、未だに童貞であった。
既に彼が青年として迎える頃合いには、サンスレイストタウンでは娼館が出来ていて、青年たちはこの町に居る限り、女に手を出す事を禁じられている。
その中でも、キッドはかなり反抗的な存在だ、食糧を獲る為に辛うじて生かされているが、ヒエラルキーの中では底辺に近しい。
だからか、娼館に近付く事も許されず、女を見るのは実に五年振りであった。
(小汚いのに、花の様な良い香りがする)
まるで媚薬の様に、エルフの体を舐め回す様に見てしまう。
下半身が熱くなるのを感じて、キッドは首を左右に振った。
「くそ……」
理性を保つ為に深呼吸を行う。
このまま、エルフの彼女を置いておくワケには行かなかった。
彼女を抱き上げながら、キッドは自らの小屋の中へと入るのだった。
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