緑の中の東欧より〜森の香りの絵葉書物語
@masamasa0930
第1話 リュブリャナよりー絵葉書の向こうに広がる冒険
親愛なる孫たちへ
この絵葉書が届くころ、君たちは学校の宿題に追われているかしら?
それとものんびりお散歩を楽しんでる?
ババは今、スロベニアの首都リュブリャナにいるのよ。
ここは「ドラゴンの街」とも呼ばれていて、どこを歩いても歴史の香りが漂ってくるの。
最初に驚いたのは、リュブリャナ川にかかる「ドラゴン橋」。
橋の両側には大きなドラゴンの像があって、まるでこの街を見守っているみたい。
伝説によると、ギリシャ神話の英雄イアソンがこの地でドラゴンを倒したんですって。
だから、街のあちこちにドラゴンのモチーフがあるのよ。
ババもドラゴンの形をした小さな木彫りのキーホルダーをお土産に買ったから、日本に帰ったら渡すわね。
今日は、地元の市場である「中央市場」を歩いていたら、素敵な老紳士に出会ったの。
彼の名はアンドレイさん。
白い髭を蓄えた、まるで童話に出てきそうな雰囲気の人だったわ。
「観光客かね?」
と聞かれたから、
「はい、でもただの観光じゃなくて、この街の物語を知りたいんです」
と答えたら、彼は笑って
「それなら、私の話を聞くといい」
と言ってくれたの。
彼の家は、なんと昔の薬草屋の家系だったんですって。
リュブリャナには昔からハーブを使った薬の文化があって、彼の祖父は王宮の人々に薬草を調合していたらしいの。
「ここでは、自然が最良の医者なんだ」
と言いながら、彼は市場で「ブコヴァ・ポガチャ」という伝統的なクルミのパンを買ってくれたのよ。
ほんのり甘くて、ナッツの香ばしさが口いっぱいに広がる味だったわ。
あなたたちにも食べさせてあげたいくらい!
それから、彼に案内されて「プレシェーレン広場」へ。
広場の中央には、スロベニアの偉大な詩人プレシェーレンの像が立っているの。
でも、興味深いのは彼が見つめている方向よ。
向かいの建物の窓に、彼の恋人だった女性のレリーフがあるの。「彼女に永遠に恋い焦がれる詩人の視線」
だなんて、ロマンチックじゃない?
夕暮れになると、アンドレイさんが
「最後に、この街の魔法を見せてあげよう」
と言って、私を「リュブリャナ城」へ連れて行ってくれたの。
丘の上に立つこの城から見下ろす街の景色は、それはそれは美しかったわ。
オレンジ色の屋根が並び、遠くにはアルプスの山々が霞んで見えるの。
「この街には、ドラゴンだけでなく、古くから続く魔法のような時間が流れているのさ」
と、アンドレイさんが言ったとき、私は本当にその言葉を信じたくなったわ。
さて、そろそろホテルに戻ってお手紙を締めくくらなきゃ。
ババは明日、リュブリャナを発って次の街へ向かうけれど、この街の不思議な時間は、ずっと心の中に残る気がするの。
あなたたちも、どこか旅をしたくなったら、知らない街の歴史を知ることから始めてみてね。
次の絵葉書も楽しみにしていてね!
愛をこめて、ババより
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます