第2話
少女の失踪届と一緒にいた少年の調書。どちらも読み終えた
「ちょーっと、厄介すぎないかこの案件……」
天を仰いだままそう呟けば、隣にいた
「失踪したのは
「経緯から考えて通常部署で扱える案件ではないと判断されてウチに回ってきた訳だけど、とはいえ久しぶりにハードな内容だな。最近は化け猫相手とか浮遊霊相手とか、そこまで人的被害が出ていないものばかりだったが」
「今回の失踪事件が起こった地域では、過去にも何度か失踪事件が起こっているようですね。そして誰も見つかっていないと……」
確かに厄介ですね、と無表情に嘉内の言葉を繰り返した麻倉は資料を嘉内の手に返した。
この部署が新設されて二年、麻倉がそこに配属されてきてからは約半年。嘉内のいうように確かにここ最近はこういう事件は少なかった。麻倉にとっては嘉内と邂逅した時の出来事以来とも言える大掛かりな事件だ。
この部署で取り扱う失踪事件というのは主に二つに分類される。すなわち神が関わっているかいないかだ。基本的に神がらみの案件は
手に戻ってきた資料をぼんやりと見つめながら、やりたくねぇ……と嘉内がぼやくと、背後からスパンっ! と小気味いい音と共に後頭部へと衝撃が走った。
「いっっってぇ‼︎」
「痛くなるように振り下ろしたんだから、当然ね」
たんこぶが出来たのではないかと思うぐらいに痛む頭を抱え、涙目になりながら振り向いた嘉内の目線の先には、丸めた資料を手に持った室長の
痛みに
「やりたくないなんて言わないの。気持ちはわかるけど、嘉内くんにやってもらわなきゃ困るのよ」
「はいはい、わかりましたよ……。これは?」
「一応先行して宮内庁側で神に関する案件かどうかは調べてもらった調査資料よ。神の
渡辺からもらった資料をめくりながら話を聞いていた嘉内は、ある一文を目にして手をとめた。
「
「そうね、そこについては時間がなくて詳しく調査できなかったのだけれど、その地域での口伝えがあったらしいわ。確か一緒にいた少年も、祖母から山に注意しろという話を聞いていたというから、それかしらね」
資料を見つめながら考え込んだ嘉内は、徐に立ち上がると、麻倉に資料を手渡す。
「ちょっと出てくる。行くぞ麻倉」
「あぁ、嘉内くんちょっと待って」
部署から出て行こうとした嘉内を呼び止めた渡辺は、胸ポケットから煙草の箱を取り出す。
「もう少なかったでしょう? 持っていって」
差し出されたそれを手に取ろうとした嘉内だが、横から麻倉が素早く奪い取った。
「おい」
「これは俺が預かります。あまり使ってほしくないので」
「確かに麻倉くんに預かってもらった方がいいかもね。今度からは麻倉くんに渡すわ」
「勘弁してくれ……」
あからさまに肩を落とす嘉内の背中を笑いながら渡辺が叩く。そんな二人のことなどお構いなしに、麻倉は先に行きますよと怪異対策室から出ていくのだった。
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