第11話カフェでケーキ
ホームビデオにあわやなってしまいかけた、CM撮影をなんとか終えた。
ほっと一息にパパも誘ってカフェでケーキを食べる。
地球の菓子にみんな大喜び。
「もっと食べたい」
店員に持ち帰りであそこからあそこまで全てと言う親達をなんとか落ち着かせるまである。
店員さんには予約をお願いした。
そのちらりと見える冷や汗が申し訳ない。
今全部買ったら今日来る人達や今ここにいる人たちは食べられないと、彼らを説得する。
美味しすぎて気が急いでしまったのだと母はその美顔で許されていた。
店員さんはボーっとなる。
「ケーキの量考えたらボーっとなるのもあれなんだけどね」
ケーキの量は、凡そ150人前とかなんだけどな。
大食いも青くなる。
「今日は少しにしておこう」
ケーキの持ち帰りを済ませて私達は店を出た。
少しといったけど一人10個購入。
1人残らず店から出てきた店員達に見送られる。
VIP扱いってカフェでもするんだ……。
「この店は母的星100だな」
ジュスティヌはニコッと笑う。
箱を見て上機嫌。
クスクスと父も笑う。
母の喜びが伝わってくるのだろう。
エマがブラブラ歩く私に話しかけてくる。
「私からの贈り物、今日の昼からだからね」
「うん」
アプリは配信日を予め決められていて、妹の作ったアプリはCMも流す予定になっている。
CMは5日後に流すとのこと。
顔を隠しても赤い髪はそのままなので顔も隠す必要はないだろう。
エマは気合いを入れているらしく、コードを打ち込んでいる。
ゲームの課金要素は買い切りにするらしい。
排出や切り替えを管理することなど造作もないが、一々ガチャにするのも面倒らしい。
運営する方もする方で大変なんだね。
ホテルに一同帰宅。
配信時間になって、妹と反応を確認していく。
これってエゴサーチと対して変わらないような気が、しなくもない。
反応を聞いたり、見たりしていると大絶賛されている。
「2D式のもやりたいけど、贅沢かなあ」
あのドット絵がなんとも堪らないのだ。
エマ自作のデバイスを手に呟く。
いや待てよ、幼児もにっこり安心プレイモードを使えば限りなく近いデフォルでやれるのかもしれない。
妹から借りているゲーム専用デバイスから製作者にメールを送る。
「姉よ、私はここにいるんだけど」
真横にいた彼女はホログラムから顔を剥がして首を傾げた。
「いや、だって、要望っていうものは文字を送りつけるのが普通のことなんだから、メールで送ったほうが良いのかなって……どう?」
あはは、と笑みを向ける。
「そうだね。今やってるゲームの調整が終わったら手を付ける」
「おお、ありがとう!持つべきものは天才な身内だ」
更にブラッシュアップされる。
「私も持つべきものはご飯を作れる姉だと思ってる」
エマは気に入ったのかたこ焼きを食べつつ、作業している。
私もお好み焼きをつまみながらゲームプレイする。
今は妹に手渡された私の贈り物、専用デバイスの方をやりこんでいる。
やめ時を止められない。
こんなんじゃ私、働けなくなるっ。
ダメになっていくゲーム。
恐ろしいものをこの子は作ってしまったようだ。
アプリゲームランキング上位に食い込むなんてレベルじゃない。
爆速で一位だ。
配信されて数時間以上経つが、変動はない。
一部のコメントを見ていこう。
xxxx@
なんだこれと思いました。これは神ゲーです
####@
訳わからんクオリティ
××××@
やめ時ない。意味不明なくらい面白い
○○○○@
全ての人気ジャンルを詰めん混んでいるのに、どこにも詰めの甘いところがない。このゲームは覇権決定です
***@
あり得ない技術力。どこの会社?
「エマ、大絶賛に次ぐ大絶賛だよ」
「当然。私が作ったんだから」
むふー、とエマはドヤる。
そして、私はふと思った。
CM撮影とCM出演って仕事だったよね?
なら、今年の仕事はもうやらなくて良いのでは。
むくむくと嬉しさに湧く。
よし、エマがゲームを作るのなら私はそれをやろう。
もう仕事のことを考えずに済むのならあとは寝転がるだけ。
と、思っていたがゲームのCMが流れると異星人ジャンルが盛り上がった。
私達が人間でないのは見た目もそうだが、周知された。
CMが流れてすぐに気配を外から感じる様になって、眉を下げる。
「外にマスコミ居る……このまま張り付かれるのは流石にやだなぁ」
「責任持って退かしてもらうから安心して」
不満を爆発させる前に手を打つと妹は行動する。
妹が何処かに電話して、有無を言わずにやれとキツく言いつける声を聞きながら、外で待ち受ける報道各社を見下ろす。
ここはスイートルームだから最上階。
豆粒みたいな小ささでも、下に降りれば等身大。
「どこに電話したの?」
「政府関係」
サラッと。
「あー、依頼したのそもそもそっちだから、報道関係も予測してたよね」
事前にやって欲しかった。
目立たせたのに、こんなんじゃ信用も何もなく。
「してた。だからなにがなんでもやってもらう。法律にも記されている。異星人に関する法律では異星人に無許可で生活を脅かす行為は禁止されてる」
エマは六法全書から法律関係、その他の抜け穴まで網羅済み。
「そうなんだ。健全な生活についてはほんのりあったことは知ってるけど」
人間に向けての法律ね。
「だから、私達は邪魔される謂れもない。正当な権利」
キッパリ言うのを聞き通す。
政府が異星人の扱いをちゃんとするのには、理由がある。
もし、こういう事で異星人が地球を離れた場合、悪評の広がり方がすごいせい。
特に有名人が酷評した場合、今いる異星人も居なくなる。
昔は酷い時もあったとか。
「異星人が他の星に来るのは商売か娯楽が殆どだからね」
地球は田舎星の分類なので、それを地球の人間も理解していると言う事なのだろう。
悪口じゃない。
技術力が一定以下な星は無評価なので、地球に限った事ではない。
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