第9話スマホすら自作
翌日、さて外へ行こうかと話し合いながら太陽の下へ躍り出る。
先ずは母の道場の手続きだなと思っていると、パパラッチみたいな人達がこちらへ押し寄せてきた。
「出てきたぞ」
「ルビー色だ」
「4人共、撮れ高高いぞ!」
興奮止まぬ声。
「むう、家族の旅行を邪魔する不届き者か」
母はこれから楽しみにしている観光を邪魔されて、少しムッとしている。
「退けい!」
邪魔故に一喝した。
その迫力にパパラッチ達がへなへなと腰を抜かしていた。
ジュスティヌは、軍人専属の傭兵だったので気迫は玄人だ。
そこら辺の怖い人に慣れている人達であっても、押し負ける。
現に這って逃げようとする人も居る。
泣きべそをかいている人も居て、現場はざわめきと強者に見つからないように息をひそめる二手に別れた。
別に追い討ちなんて掛けないのに。
母の道場を宇宙の専門窓口で登録し、2日後に開けるようになることを説明された。
こんなに簡単に出来たのは、宇宙人を長く待たせると他の星にさっさと言ってしまうため、引き止める為にも迅速に出来るよう簡素にしたのだ。
他の星でもこんなもの。
地球にはダンジョンがないから引き留めるのも大変なんだろう。
ダンジョンは娯楽だ。
うちの母もダンジョンに入り浸ることは珍しくない。
私はダンジョンよりも街歩きとかの方が好き。
道場の準備のために、始める場所へ向かい土地へ建物を建てる。
技術に関しては父が得意だし、エマも出来るから、実質タダ。
エマが四角いものを土地の真ん中に置くと、それはみるみるうちに大きくなり、ドーム型のゲルを彷彿とさせる建物が出来上がる。
建物には既に道場と書かれており、説明もある。
完璧にいつでも生徒を入れられる内装。
道着はピチピチしている服。
これだけで生徒がたくさん来そうなビジュアル。
エマはその間に、なにやら作業をしていて、気になった私は聞いてみる。
彼女の画面はいつもコードばかりで何をしているのか聞かねば分からない。
「スマホとか携帯機器のゲームアプリを開発しているの」
「ゲーム作ってるの?凄いね」
「こんなの直ぐ終わる。ママの道場のCMも入れておけば良い広告にもなるし、金銭も稼げる」
エマは昔から天才だから片手間なのは本当のこと。
なんのジャンルを作っているのかと聞いてみたら「乙女ゲーム」「RPG」「男性用ゲーム」と返ってきた。
まさかの3つ同時進行。
凄過ぎて、楽しみ。
オマケに、地球のゲーム傾向を分析しているので、かなり面白くなりそうな予感がした。
母親の、真っ赤な美女具合に釣られてきた人達から初期費用をきっちり回収し、投げ飛ばされる光景を見ながら、父が働く場所へ向かうのを見送る。
姉妹だけぽつんと残ったが、やることは沢山沢山ある。
妹は芸能活動を候補に挙げていたが、私的に特にこだわりもない。
どうしたものかと悩む。
3日後、他に作っていたゲームが完成したのでやってみてと妹から誘われて、妹の作成したスマホが手渡される。
まさかのスマホすら自作!
しかも、凄く高性能。
これを売り出したら地球の携帯が駆逐されかねない。
「お、今のゲームって感じじゃん」
エマは私がするのをずっと見ている。
「牧場経営のやつ?」
「違う。牧場、戦闘、街経営、店経営、料理、動物管理、パズル要素が入ってる」
「すごいなんてもんじゃないよ、妹ちゃん」
サバゲーのリアルゲーを作ってしまう彼女からすれば簡単だったとは思うけど、いちゲーマーからしたら今流行りの要素に頭がふやけそう。
おまけにキャラの恋愛要素まで。
ストーリー濃いし、長い。
「メインストーリーは100時間、サブストは50時間、その他のイベントストーリーも用意させた。追加も予定」
「いやもう、覇者かなこの子」
このゲームしか勝てない。
「既にありとあるゲームの情報を飛び込んでプログラムとして完成させているから、続編も作らせている。細かい調節を私がするだけ。ストーリーの配信は、ナターシャの気分で良い」
「私の気分なんだ?姉贔屓が過ぎるから半月に一回とかで良いんじゃ無いかな」
いや、1ヶ月一回でも普通に許される。
半年もいけるかもしれない。
長過ぎ?
「低いスペックの機器にも対応させたから、出来ない人は居ない」
「んー、天才」
グラフィックが3頭身で、これが動くのって、ありえるのかなと心配だったけど、妹が言うには3等身でも軽々動かせるコードを自作したとか。
デフォルメモードというモードもあって、小さい子のためのモードらしい。
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