第五話 楽園の虚飾、反逆の刃

桃太郎、犬彦、猿丸、雉之助の四人は、新たに目覚めた神の力を携え、天界への道を探し始めた。鬼ヶ島の最深部に辿り着いた彼らの前に、突如として巨大な渦が現れる。


「これは…天界への入り口か?」桃太郎が呟いた。

「ただの渦には見えないな。」犬彦が鼻を鳴らす。


「こんな頃合いで出てくるなんて…創造神の罠じゃないか?」猿丸が警戒を促す。


雉之助が空から様子を伺う。「上空からも底が見えない。まるで宇宙そのものだ。」


## 渦の中へ


決意を固めた一行は、渦の中へと飛び込んだ。すると、彼らの体は様々な色の光に包まれ、宇宙を漂うような感覚に陥る。


「うわっ!体が軽くなる!」桃太郎が驚きの声を上げる。

「これが天界への通路…美しいな。」猿丸が感嘆する。


その時、渦の奥に眩い光が現れる。天界への扉が開いたのだ。


「行くぞ、みんな!」桃太郎の声と共に、一行は光の中へと飛び込んでいった。


眩い光に包まれた桃太郎たちは、気がつくと天界の入り口に立っていた。そこは想像を超える美しさで彼らを出迎えた。七色に輝く雲、宝石のように煌めく地面、そして遥か彼方にそびえ立つ巨大な宮殿。


「ここが…天界か」桃太郎が息を呑む。

「美しい…でも、どこか冷たさを感じるな」犬彦が鼻を鳴らす。

「空気が澄んでいる。でも、何か違和感がある」雉之助が空を見上げながら言う。

「油断せずに進もう」猿丸が警戒を促す。


宮殿の前に着いた桃太郎たちは、扉をゆっくりと開きその奥へと足を踏み入れた。内部は荘厳でありながらも冷たい雰囲気に包まれていた。高い天井には無数の光が漂い、壁には神々しい彫刻が施されている。しかし、その美しさの裏にはどこか不気味さが潜んでいた。


「ここが創造神の居城か...」猿丸が低く呟いた。

「気を抜くなよ。何が待ち受けているかわからない」犬彦が鋭い目で周囲を見回す。


桃太郎たちが慎重に進む中、突然、宮殿の奥から複数の影が現れた。それは創造神に仕える存在たち、創造神一派だった。彼らはそれぞれ異なる姿をしており、見るからに並外れた力を持っていることがわかった。


「ここまで来たか、反逆者の子たちよ」一柱の巨大な存在が低い声で言った。「だがお前たちごときが、ここを越えることは許されない」


桃太郎は刀を構え、静かに言った。「俺たちは真実を正すためにここまで来た。その邪魔をするなら容赦はしない」


創造神一派の者たちは一斉に襲いかかってきた。その動きは速く、力強く、普通の存在ならば一瞬で圧倒されるような攻撃だった。しかし、桃太郎たちは違った。彼らはすでに神としての力を完全に覚醒させていた。


犬彦はその俊敏さと鋭い牙で敵を翻弄し、一撃で倒していく。

「この程度か!」犬彦が叫ぶ。


猿丸はその腕力と戦術眼で敵を圧倒する。

「俺たちを甘く見るなよ!」猿丸は次々と敵を打ち倒した。


雉之助は空中からの攻撃で敵の動きを封じ、一瞬の隙も与えない。

「この程度では俺たちに届かない」雉之助が冷静に言い放つ。


そして桃太郎の刀から放たれる神気は圧倒的であり、一振りごとに敵を消し去っていった。

「俺たちはここで止まるわけにはいかない!」桃太郎の声が宮殿内に響き渡る。


戦いは一方的だった。創造神一派の強大な力も、完全に覚醒した桃太郎たちには及ばなかった。次々と倒されていく創造神一派。その姿はやがて光となり、消えていった。


戦闘が終わり、静寂が戻る。四人は互いに目配せしながら奥へと進んだ。そして遂に、宮殿の最奥部、大広間へと足を踏み入れる。


そこには、一柱の存在が玉座に座っていた。それこそが創造神だった。その姿は人間にも似ているが、人間とは明らかに異なる威厳と恐ろしさを兼ね備えていた。彼の周囲にはまばゆい光輪が漂い、その圧倒的な存在感だけで空気が震えているようだった。


「よくぞここまで来た、若き神々よ」創造神は穏やかな声で語りかける。その声には底知れぬ力と威圧感が込められていた。


「お前の不幸実験など許されるものではない!」桃太郎が刀を構えながら叫んだ。


創造神は微笑みながら立ち上がった。その動きだけで空間全体に重圧が走る。

「許される?誰がお前たちにその権利を与えた?私こそが全てを創り出し、支配する者。この世界は私によって作られ、お前たちもまたその一部だ」


桃太郎たちはその威圧感に抗おうとする。しかし、その場に立つだけで全身に恐怖を感じるほどだった。


「なんだこれは...こんなの...」犬彦が歯を食いしばりながら呟いた。

「これほどとは思わなかった...」猿丸も額から汗を流している。

「でも、引き下がるわけにはいかない!」雉之助は翼を広げて叫んだ。


桃太郎もまた刀を握り直し、仲間たちを見る。「みんな、俺たちはここまで来たんだ。この戦いで全てを終わらせる!」


四人は再び立ち上がり、創造神との戦いへ向けて準備を整え始める。だが、その時点で彼らは理解していた。この相手はこれまでとは桁違いだということを――。


---

次回、「絶対支配、歪んだ思想」


みんなすごく強いな!

ついに対決が見れる!

父の思いを胸に行け!桃太郎!

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