もし、貴方を救えるのだとしたら
小説家k
第0話 この世界を否定する竜人
俺は、この世界が嫌いだ。この世界はあまりにも不平等だ。何故、俺は否定されるのだろうか?お前らが悪いはずなのに、だ。
この世界の話をしよう。この世界は竜人と人間というふたつの種族で別れている。それぞれ信仰している神は違い、人間は創造神、竜人は竜神を崇めている。元々、ふたつの種族は仲が良かったとかなんとやら。そんな話、信じていないがな。
ある年、人間は突如竜人を襲った。あちらの言い分としては「我らを創造した創造神こそが本当の神だ。お前ら外道な生き物など要らないと創造神は仰った。ならば、排除するしかないだろう?」と言っている。俺ら竜人は人間を嘲笑ったり、外道な扱いはしていない。win-winの関係を築いていたと言えるほどどちらも尊重していたはず、だ。それなのに、なぜ人間はこうも裏切るのだろうか。そんな話は置いておこう。問題はいくつかあるが、そのうちの2つを話そう。
まず、1つ目は人間側には勇者率いる使徒が居る。使徒はそれぞれ12人、そしてその上は勇者、という構成だ。俺らが対抗できない理由はこれが大半と言ってもいい。使徒はそれぞれの能力があり、それによって竜人達は苦戦している。また、勇者の実力は不明だ。いや、戦闘に参加した者は全て消された。というのが正しいな。勇者の力としては、竜人1万が挑んでも全員消されたほどだ。はっきり言ってとても憎い。その中には俺の友人もいたんだ。俺の大願はその友人の仇をとることだ。
2つ目は竜人の繁殖能力が弱い事だ。竜人は人間よりも強く、空も短時間なら飛べる。さらに竜人は竜炎という炎を扱うことも出来る。ただし、その代わりに繁殖能力が人間よりも劣る。だから、数で押し切る。という事が出来ない。なんと言っても皮肉だな。戦う力はあるのに、数で押されて死ぬなんざ、力の持ち腐れだ。
その事から、竜人は押されている。人間の数の10分の1まで減らされた。俺はそれを打破したい。1人でも、全てを圧倒できるように、だ。
この世界には幸いにもレベルという概念がある。それが上がる事に強くなる、というわけだ。人間の方はそれで役職や魔法を手に入れることができるみたいだが、竜人は違う。竜人はそれぞれ「下位竜人」「中位竜人」「高位竜人」という風に級が分かれている。俺を除いてだが。
俺のステータスのは何故か竜人としての級が書かれていなかった。代わりに、こう書かれていたんだ。
「世界の否定者」と。
このせいで俺は竜人ではないと言われ、否定され続けてきた。だが、俺の友人だけは違った。友人には「俺に付きまとうな。」と言ったにもかかわらず、ものすごく付きまとわれた。あの頃はだるいと感じていたが、今となってはありがたいと思うほどだ。あの友人はいつも口癖でこう言っていた。
「皆に否定されようとも俺はお前を否定しないぜ!」と。
その言葉だけが救いだった。いつも孤独で何も話さなかった。だが、そいつの前だけはよく喋っていた記憶がある。そんな友人も、あの勇者によって殺されてしまったが。
人間との戦争が始まった頃、俺は勿論、他の奴らも戦いに出ていた。俺は隠密が得意だった為に、周りの警戒をする兵士としてやっていた。俺の友人は竜人の中でも「高位竜人」だった為にいつも前線で戦っていた。
それが、仇になることも知らずに。
俺はいつものように拠点周りを警戒していた。陰湿と言われようとも、酷い扱いを受けても、あいつの為ならと喜んで働いていた。
そう考えると拠点の前に1人、人間がポツリと立っているのが見えた。
「あいつはなんだ?」
そう考えながら報告に入ろうとする。だが、それは余りにも速すぎた。
一人の人間が剣を振るう。それが、俺たちの拠点を一閃で斬る。何が起こったか、俺にも分からなかった。だが、数秒遅れて事態を把握した。
「...まさよし!!!!」
俺は友の名前を叫びながら崩壊した拠点の中に入る。何処だ、何処にいる。と叫びながら探す。
周りは全て横に一閃斬られて絶命している。あれだけ人間に勝利続きで賑わっていた拠点が一瞬にして地獄絵図と化していた。
「...!」
まさよしの居る部屋だった物にたどり着く。俺は必死に瓦礫を退ける。
「まさよし...!まさよし!」
友の顔が見える。俺は胴体の方の瓦礫も退ける。だが、希望はすぐに打ち砕かれることになった。
まさよしの下半身がない。否、斬られて分かれている。と言えばいいだろうか。
「まさ...よし...?」
俺は絶命している友に声をかける。もう、死んでいると脳はわかっているのに、身体がそれを認めない。
「なぁ...なんで、なんで皆は俺を置いていくんだ...?」
俺は泣きながら友だった物を抱きしめる。何故、皆は俺を否定し、大切な者は俺を置いて去っていくのだろうか。
「あぁ...やっと分かった...」
俺が何故、「世界の否定者」に選ばれたのか、それは、
「この世界を破壊することだ」
あれから数年後
人間はあの一件から勇者も使徒も動く気配がない。竜人は相変わらずまだしぶとく生き残っている。俺はあれから人間を狩り、息の根がある竜人も殺し、レベルを上げ続けてきた。今のレベルは129。高位竜人が80レベル辺りなのでそこら辺の人間はもちろん、高位竜人が10人ほどであれば蹴散らせる。高位竜人など、そうそう生まれることは無いがな。だが、それでも使徒や、それこそ勇者に届く訳はない。
「まだ、レベルをあげないとな。」
全ては俺を否定した者を殺す為に。
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