「洗脳スキルの悪役に転生! 主人公に殺されたくないので、自己暗示で最強になった件」

@kaioisii

第1話 悪役転生


「え? なんで俺、ベッドの上にいるんだ?」


目を覚ました瞬間、フカフカのベッドに寝ていた。

天井には豪華なシャンデリア、横には金ぴかの家具が並ぶ。

明らかに見覚えのない光景だった。


──というか、この部屋、めちゃくちゃ見覚えがあるんだけど!?


ベッドから飛び起き、鏡の前に立った。

そこに映っていたのは……


銀髪の美青年。細身で貴族っぽい雰囲気。


「……まさか」


いや、そんなわけないだろ。でも、この見た目、この部屋……


確かめるように、ベッドサイドに置かれていた書類を手に取った。

そこにはこう書かれている。


『レオン・フォン・エグザイル』


──間違いない。俺は悪役貴族に転生してしまった!!!


【ゲーム内設定】

・レオン・フォン・エグザイル(18)

・貴族の御曹司だが、洗脳スキルを持って生まれたため、周囲に恐れられる

・主人公に敗北し、最終的には処刑される


「いやいやいや、俺、ゲームの悪役じゃん!? 絶対死ぬじゃん!!」


震える手で自分のステータスを確認する。


【スキル】

・洗脳(対象の意識を操作する)


「うわあああああ!! やっぱり持ってる!! これがあるせいで主人公に狙われるんだよ!!!」


このスキルのせいで、ゲームの主人公は俺を悪の象徴と見なし、最終的には処刑ルートに突き進む。

つまり、このままだと俺の未来は100%詰んでいる。


「やばい、どうする!? 何か生き残る方法は!」


①洗脳スキルを使わない → でも、能力持ちなのがバレたら終わり

②主人公に近づかない → でも、ストーリーの都合上、確実に遭遇する

③……洗脳を自分にだけ使う!?


ゴクリと喉を鳴らした。


「……いや、これだ!!」


洗脳スキルがヤバいんじゃない。

**「悪用するから」ヤバいんだ。

だったら、俺が洗脳するのは──「俺自身」**ならいいんじゃね!?


「よし、やるしかない!!!」


鏡を見つめ、スキルを発動した。


「俺は最強! 俺は不死身! 俺はカリスマ!!」


頭の中に、強烈な暗示が流れ込んでくる。

この感覚は……まさに自己洗脳!!


すると──


「……あれ? なんか、身体がめちゃくちゃ軽いんだけど?」


腕を軽く振ると、空気が切り裂かれるような感覚。

試しに壁をポンと叩いてみた。


──ドガアアアアアン!!!


「は?」


壁が粉々になった。


「……ちょっと待て、自己暗示かけただけで、俺、マジで最強になってね?」


驚きと戦慄が走る。


──だが、この時の俺は知らなかった。

この「自己洗脳」によって、とんでもない運命が待っていることを……


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