第13話 初めての敗北。あの、俺すごいんだよ。なんでこんな所で負けなきゃいけないの


  「必殺技名を叫ぶから」


 「必殺技が当たらないとでも思ってるんじゃないだろうね」


 !


 「思っている」


 「なら、こうしよう」


 !なんだってんだよ!


 青年は、ヘッドフォンをかけBGMを鳴らす。


 「これで、どうかな」


 「ちくしょう、なめやがって!」


 「吹き飛ばし投げ」


 俺は必殺技名を叫んで、吹き飛ばし投げのモーションに入る。


 が、ひょいと交わされる。


 「どうかな」


 「今俺は、君が何を言ってるかなんて聞こえてないよ」


 くそくそくそ。


 「吹き飛ばしジャンプキック」


 「吹き飛ばしボディアタック拳」


 俺は必殺技名を叫び、必殺技を叫ぶも、まったく当たらない。


 《 TIME UP》


 アナウンスが、時間切れを告げる。


 俺の、負けだ。


 「俺の、負けだ」


 俺は、花壇から出た。


 「お前達」


 「花壇で遊ぶな」


 スリ男Aの言葉が、俺を苛立たせた。


 ちくしょう!


 スリ野郎なんかに、なんで説教されなきゃいけないんだよちくしょー!


 「覚えてろよぉぉぉぉ!」


 俺は、走って逃げ去った。


 記憶のあるかぎり、俺の始めての敗北だった。


 俺は、俺TUEEE俺SUGEEEの真の無双者なんだよ。


 なんで、こんな所で敗北しなきゃいけないんだよ。


 俺は、俺はすごいんだぁぁぁぁ。


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