第16話 防衛戦

「これは…、長くなりそうですね…。」


魔術隊と弓矢隊が攻撃続けるが相手の損耗率は芳しくない。


「魔獣が近づいてきたぞ!」


そこからは押し寄せてくる魔獣をバリケードを使って足止めし槍や弓、魔術に剣を使って倒していく。

「相手は数は多いが質が高くない!いけるぞ!」

「怪我をしたものは後ろに下がって回復しろ!」

「矢が切れたら後ろで補給しろ!」


うぉぉぉぉ!


襲い掛かってくるのは無害級や害虫級などばかり。

誰かが叫ぶ。

「このまま行けば行け」


だがその言葉最後まで放たれることはなかった。

さえぎられたのだ、どこかから飛んできた岩に上半身をすりつぶされる形で…。


するとその犠牲を始めとして次々に仲間が殺されていく。

1人は火球に燃やされ、1人は雷槍サンダー・ランスに貫かれ、1人は飛んできた丸太につぶされて、1人は姿を隠しながら近づいてきた魔獣に首元を搔っ切られて、1人は…。


「あれは!野獣級に災害級!」


グウォォォォォォ!


「おびえるな!災害級は囲んで殺せ!まだまだ魔術師たちによる援護もある!」


「ハイフォン様。」

「ええ、聖騎士たちも行きなさい!」

「はッ、行くぞ!神の加護はわれらにあり!」


初めは互角だった。

だが徐々に姿を消した魔獣の奇襲に対応できなかった者から殺されてゆく。


「だめだ!こっちのバリケードも維持できねぇ!だれかこっちに回してくれ!」

「無理だ!こっちもぎりぎりだ!」


少しずつ、少しずつ見方が減ってゆき段々と厳しくなってくる。

「お、おい!あっちも突破されたぞ!」


「う、うわぁぁぁぁぁ!」

1人が恐怖に負けてにげていく。

「おい!まて!逃げるな!お前が逃げたら…。」

またバリケードが突破される。

そして次々と恐怖は伝播していき…。

「お、俺は無理だ、頼んだ!」

「こんなのやってられっか!」

「ひぃぃぃ!」

瞬く間にその場にいるのは元々の1/5ほどになってしまった。


現場で指揮を執りつつ戦っていたこの都市のギルドマスターが叫ぶ。

「くそ!後退だ!これより道中の民間人をできるだけ救出しつつ後退する!」


徐々に後退しつつ民間人を救出していく。

その時誰かが叫んだ。

「どこに行くんだ!」

「それは…。」

ギルドマスターが考え込むとハイフォンが言った。

「教会を使って下さい、教会をはこのような時のために守りやすいように作られており強度も高く収容人数も多いです。」

「わかった。お前たち!教会だ!教会まで避難する、そこで防衛線を作るぞ!」

「「「「はい!」」」」


後退している最中、自分達のいたところがもえているのが見えた。


「やつら、町に火を…!」

「消火活動を行いたいが今は無理だ…。」

「くそ!」


そして100名ほどの道中にいた民間人を救助しつつ無事に教会まで後退することが出来た。


アレンの来る11分前

______________


「がんばれ!ここだけは持ちこたえさせるんだ!」

「くそ、なんでよりにもよってのいないときに!」

「泣言言ってても何も変わらねーだろ!今はこいつらを協会の中に入れないことだけ考えろ!」


(さて、私も頑張りますか。)

「皆さん!神聖領域サンクチュアリ・フィールドを使用しますよ!」

「「「「「「「「はい!」」」」」」」」

「全てを遍く照らし出す光よ、我らを見守る大いなる神よ、常世に立ち込める闇を光で照らし払いたまえ!神聖領域サンクチュアリ・フィールド!」


すると暗闇に閉ざされていた一帯が術者たちを中心に内側から照らし出されるように光が広がっていく。


「これは…。」

戦っていたうちの赤鎧を着ていた中年男性が呟いた。


その結界を展開したことでハイフォンを含める魔術を中心で執り行っていた者たちが魔力枯渇状態になり気絶しているのだが確かにそうすることで戦場に大きな影響を与えた。

まず、無害級が突如もだえ苦しんだかと思うと煙を上げて消滅していき、害虫級・野獣級までもが戦闘力を大幅に軽減される形になった。


だがその領域の維持には魔力が必要で、こちらもまたシスターたちが一人、また一人と倒れていく。


「いまのうちだ!領域が展開されているうちに終わらせろ!」


要するにアレンの記憶の封印が解けた原因の一つのハイフォンからの魔力供給が途切れたのはけれが原因だったのである。



______________________________________

岩を投げた魔獣=オーク

魔術を使っていた魔獣=さまざま

姿を消していた魔獣=シャドウゴブリン


シャドウゴブリン

等級:野獣級

特徴:暗殺の技に秀でている。

   姿を消すことができ王国の闇だが一部の貴族などが奴隷紋を刻んで飼ってい

   る。

   その理由は言わずもがな。

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