365日の約束
@yumarudayo2
第1話 はじまり
この世には神様がいる。
それも、たった一柱や二柱ではない。
日本だけで、数百万。
願いの数だけ、神様は存在する。
初詣で買ったお守りに、実は神様がついている。
健康を願えば、健康の神が。
恋愛成就を願えば、恋の神が。
彼らは静かに、でも確かに、その人の一年を支えるのだ。
そして今日もまた、新たな神が人間界に降りる。
神は二十歳になると、人間界に一年間派遣される決まりがある。
行き先は、配属された神社と、その神社で売られるお守り。
都会の賑やかな神社もあれば、誰も来ない山奥の神社もある。
これは、そんな“若い神様”たちの、ちょっと不思議で、そして確かに心に響く物語。
神々が暮らす世界――神界。
それは空と陸のあいだに浮かぶ、光と雲の国。
人間の目には見えないが、そこには無数の“若き神”たちが、日々の修行に励んでいた。
神々はかつて、名前を持たなかった。
識別のためにつけられていたのは、ただの番号。
しかし、ある時代から神界の上層部がこう言い出した。
「人間界を模範とし、名を持つことで“個”の意識を育てよ」
それ以来、神々は自らの名前を持つようになった。
そして、主人公の彼の名は「ソラ」。
どこまでも続く空のように、誰かの心に広がれたら――
そんな思いをこめた名前だった。
ソラは、神界の育成機関である「配神庁」の前に立っていた。
今日は12月31日。
この日、二十歳を迎える神々は、配属先の神社へと“飛ばされる”。
「……いよいよか」
淡い光に包まれながら、ソラは目を閉じた。
人間界での一年間が、いま始まろうとしていた。
彼が向かうのは、東京の小さな神社。
そして、彼が配属されるお守りは――「健康守」。
ソラが踏み出したその先に、どんな未来が待っているのか。
答えはまだ、誰にもわからない。
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