最初の選択肢が現れた!

『エキサイティングな瞬間がついに現れた!難関なんかんの出現により、プレイヤーがゲーム最初の選択肢に直面する!』


 ソルのいたずらっぽい声が響くと同時に、私の目の前に再びフレームが現れ、いくつかの選択肢が浮かび上がってきた。


 A.泣きながら逃げる

 B.酒場で大笑いする

 C.ゲームを挑発する

  


 ……

 ……???


『冗談じゃねぇよ!!!!!!』

 このふざけた選択肢を見て、私は結界の中で思わず大声を張り上げた。

『冗談じゃないよ。本気で考えた選択肢なんだから……』

 ソルは、不満げに抗議した。

『あんた、本気で私をからかってるんでしょ!!』

『そんな訳ないじゃん』

 そう言いつつも、ソルの楽しそうな笑い声が漏れる。

『悪魔か、あんたは!』  


 ……

 ……


 もはや選択肢はない。

 逃げるのは不可能だし、ベラの指輪をこのまま放棄するわけにもいかない。とはいえ、この場で大笑いするなんてありえない。となると、Cを選ぶしかなさそうだ。

 選ぶべきものはもう決まっていたけれど、一応ソルに聞いてみた。


『もし、私がゲームに挑戦したら、あんたは助けてくれる?』

『それじゃイカサマになっちゃうよ。プレイヤーは自分の実力でクリアしなきゃダメなんだから』


 やっぱり、拒否された。


『誰がこんなゲームやりたいんだよ!!!神様って何だよ、「ロイヤルストレートフラッシュ」くらい出してくれればポーカーで100%勝てるのに!』

『ダメだよ、イカサマなんて』

『じゃあ、あんたはツールもチートボーナスもないこの凡人ぼんじんの私が、これからずっとこんな馬鹿みたいな難関を通過しなきゃいけないって言うわけ!?』

『そんなことないよ。魔力ぐらいはあるじゃない?君は将来、魔女になる人なんだから』

『魔女とか言うなあああああああああああっ!』

『ハハハ、これこそが本物の試練ってやつだよ』

『もういいわ!』


 ……

 ……


 この「神様」は私をからかってるに違いない。

 そうでなければ、こんな冗談みたいな選択肢を出してくるはずがない。

 首を横に振り、心の中でプランを決めた後、私は決然と指示板のCを押した。

 結界が消えた瞬間、笑い声が耳に飛び込んできた。


「どうしたんだ?修道院のリアよ、怖がっているのか?」

「おいおい、女の子をいじめるのはよくないぞ」


 周囲から続く嘲笑の声をよそに、私は冷静に言った。

「じゃあ、ゲームをしようか」


「……え?あ、何?」


 私の言葉を聞いて、カールは困惑しつつも、警戒心をむき出しにした。


「そんなに難しく考えることはないよ。ただの金貨ゲーム」

「金貨ゲーム……?」


 カールはますます疑い深そうな表情を浮かべた。


「そう。でも普通の金貨ゲームじゃないよ。ルールはこう──あんたと私はそれぞれ金貨を一つ持ち、片面を出す。表でも裏でも好きな方をね」


 そう言いながら、私は財布から金貨を取り出した。

 ロマンシア大陸で使われている金貨には、表に太陽神殿が刻まれていて、裏には魔法を象徴する薔薇の花が描かれている。


「もし、私たち二人が出した面がどちらも表だった場合、あなたが3点を取る。両方が裏だった場合は、あなたが1点を取る。そして、もし結果が正反対だった場合は、私が2点を取る。このルールで100回繰り返して、最後に総得点そうとくてんで勝者を決めるんだ」


「お前、何を企てているんだ?」

 カールは、さらに警戒を深めた。

「何を賭けようかな」

 私は彼の言葉を無視して、話を続ける。


「これでどう?最後に私が負けたら、あなたからの金貨を全部返すのはもちろん、私を好きにしていいよ。どこかに売るのも構わない」

「なッ!」

 言おうとしていたことを先回りされ、カールは驚いた顔をした

「でも、逆に私が勝ったら……」

 そう言って、私は笑みを浮かべた。


「指輪を返してくださいね☆」

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