書籍『わが子に「お金」をどう教えるか』

 篠上芳光さんという方の著書です。

 タイトルだけ見れば「親から子へ、お金についてどう教えるか」という内容を想像されると思いますが、開いてみると、この本は大人にも向けたものであり、「大人も子供もお金とどう向きあうか」について論じていることがわかります。


 たとえば、ガンによって余命宣告を受けた父親の話。

 長くは生きられないと知った父親は、仕事をしつつ、家族をせいいっぱい愛し思い出を残そうとしました。そのうえで、ある信念をもって自分のボーナスの中から寄付を行っていました。その理由を聞くと、納得できるものがありました。

 思い出を残すというお金だけではできないこと、寄付というお金でできること。深いと思いました。


 「金で買えないものはない」という言葉(※)。

 大人と子供ではこの言葉のとらえ方がまるでちがうようです。

 大人は「同意する」「心理的反発はあるが同意する」が多数を占めていました。ですが子供は「そんなことはない」と直感的に感じとったようです。


 人はお金に振りまわされがちで、お金がないと生きていけないこともたしかです。

 そのうえで、篠上さんは、「お金があることによる問題」を、本書で述べています。ご本人は、小さな塾の講師にすぎず経済の素人だとおっしゃっていますが、本の内容にはうなずけるものが多数ありました。

 しかし、お金持ちばかりがいく学校で、お金持ちの子供ほど「親の財力を自分の力だと思いこみ」「まわりと軋轢をうみ結局退学してしまうことが多い」という実情には驚きました(篠上さんの知る範囲の話ですが)。



※「金で買えないものはない」

 この言葉を発したとされている某人物の話によると「私はそんなことは言っていない。メディアの方で勝手にそういう見出しを作った」とのことです。

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