捨てられたおっさん使い魔、幼馴染のロリ魔法少女(36歳)と最強になる

渡 歩駆

プロローグ

「すいません。今月限りで退職します」


 そう言って俺、礎井斬無そいきなん35歳は魔法少女課課長、牟田斧奈美むたふなみ40歳の机に退職届けを置いた。


「……別にあなたなんかいなくてもいいけど、一応、理由を聞かせてもらえる?」

「ええまあ……」


 この課長にはどれだけ嫌がらせをされたことか。俺がオタクっぽくてキモいとかなんとかって理由で、聞こえるように嫌味を言ってきたり、面倒な仕事を押し付けてきたり散々、嫌がらせをしてきた。一番、腹が立ったのは、俺が痴漢で捕まったことがあるとかいうデマを流されたことだ。

 同僚からデマの発生源がこいつだと聞いたときは、殺してやろうかと思った。

 そんな嫌がらせを受ける職場とももうすぐおさらばだ。しかし別にこの課長が嫌だからという理由だけで辞めるわけではない。

 

「使い魔をやろうと思いまして」

「はあ? 使い魔?」

「はい」


 この世界に魔物が現れて500年。そのころから10代の少年少女に魔法少女と使い魔の力が現れた。少女は魔法少女に、少年は使い魔として、魔物と戦い世界を守ってきたのだ。


「あなた確か、子供の頃に使い魔の力に目覚めなかったんじゃなかったけ?」

「ええはい。そうなんですけど、去年の暮れ頃に遅咲きながら目覚めまして」


 そういったことは滅多に無くかなり稀である。

 俺のじいさんも20代半ばという遅咲きであったが、それよりも俺は遅かった。


 少女は早ければ小学生の高学年、遅くても高校生くらいには魔法少女の力に目覚め、20歳くらいで魔法の力を失い、同時に魔力も失う。少年も同様に使い魔の力に目覚めるが、力は50歳くらいまで続く。それが普通であった。


 なぜ10代の少年少女が魔法や使い魔の力を得るのか? なぜ少女は20歳くらいで魔法の力を失うのか? なぜ男は50歳まで魔力を保持できるのか?

 それは今だ不明である。


「あなたみたいな中年がね。まあそういうことも稀にあるとは聞いたことあるけど」

「使い魔になって魔法少女と一緒に魔物と戦って世界を守るのが子供の頃からの夢だったので」

「くくっ、子供の頃からの夢って、あなたもう35でしょ? 夢を目指すような年齢じゃないと思うけど」


 牟田がくつくつ笑うと、それを聞いていた課の人間たちも小さく笑う。


 笑いたければ笑え。

 笑われる覚悟くらいはしてきた。


「そもそも魔法少女はみんな10代の子なのに、あなたみたいな中年と契約なんてしてくれると思ってるの?」

「契約してもらえるように努力しますよ」

「まあ、あなたのことなんてどうでもいいけどね。今月中とは言わずに、今日からいなくなってもいいけど別に?」

「ええ。ですから今日から退職日まで有休を使わせてもらいます。なんのかんの今まで理由をつけて使わせてもらえなかった有休を」

「あなたの顔を見るのがこれで最後になるなら嬉しいから、どうぞそうしてください」

「もちろんです。それでは」


 俺は課長の牟田に軽く頭を下げ、踵を返して魔法少女課を出て行った。


 魔法少女課とは、魔物対策魔法関連庁が管轄する組織で、魔法少女に魔物の討伐報酬を支払ったり、討伐依頼を出したりするのが主な役割の組織だ。


 使い魔となった俺はそこに使い魔として登録し、契約してくれる魔法少女が現れるのを待った。


 そして意外にも早く契約できたのだが、


「ちょっとおじさんっ! 早くしてよねっ!」

「わ、わかってるよ。ちょっと待って……」


 気の強そうな黒髪少女に怒鳴られて俺は慌てて急ぎ足となる。


 奇縁というべきか、俺と契約してくれた魔法少女は、牟田斧奈美の娘である牟田駿牙むたするがであった。


 ――――――――――――――――


 お読みいただきありがとうございます。


 本作には追放、ざまぁ要素あります。


 ハーレム展開は無いです。


 ダンジョン配信っぽいのあります。


 ヒロインはロリというより合法ロリお姉さんです。


 本日は2話更新します。

 明日以降は毎日1話更新になります。(状況次第で変更するかもしれません)


 フォローしていただけたら嬉しいです。

 よろしくお願いいたします。

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