壁面クイズ

春の長雨は、このゴースト・タウンにも静かに降りそそいだ。若者も中年も職を求めてここを去っていく。煙草の吸い殻すら落ちていない町を歩く時、僕は『終わり』を感じる。

隣りの畑の野焼きは今日も続くのだろうか。煙を吸うと具合が悪くなる。僕は2階の窓から外の様子を窺うことにした。

「今のところゴミは燃やしてないみたいだな。」

謎の物質を次々とドラム缶に入れ焚きつける隣りのジジイ。家から畑までは10メートルも離れてなくて、流れてくる尋常ではない煙の量に親父は

「ありゃあ燃やしゆうがは普通のゴミじゃないぞ。」

と度々繰り返した。苦言を呈したこともあったが一向にやめようとしない。ひょっとしたら僕が前に肺を病んだ原因はあの煙にあるのかもしれない。ともあれ外には今のところ人の気配もなく煙の心配をする必要はなかった。僕は階段を降り1階の自分の部屋に戻ることにした。

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