お控えなすって! 私はお姉さまに魅入られて、ヤンキーになり御側についていく事に決めました!

かず斉入道

第1話 前置きは、カッコ好く、お控えなすって! 

「お控えなすって! お控えなすって!」


 時は──! わたくしが己の手をみなさんへと差し伸べ、自分の腰を低くかまえながら仁義を切り、この場で、はしたな……。屯している怖いお姉さま達……。ヤンキーのお姉さま達へと丁寧に挨拶をすれば。


「「はぁ~!」」


 お姉さま達はわたくしの高貴で手帳な、奥深しい挨拶に対して何故か驚嘆をしたのだ。


 そう我が家……。白鳥家の執事セバスチャンがわたくしに教えてくれた大変に仁義に熱い、日本古来の律儀な挨拶のはずなのですが?


 何故かわたくしが慕うヤンキーのお姉さまヒーローさまもお連れさまと一緒で困惑されているようですから。

 わたくしは緊張の余り、額や背から冷や汗と言う物がタラリと垂れ。その後はポロポロと垂れ流れ出すほど緊張をするのですが。


 いかん! いかん! とわたくしは自身の首を振り、気を取り直すのだ!


 だってわたくしの親愛なるお姉さまヒーローさまを探索するのに興信所を使用し経費も多々使ってしまった上に。

 わたくしは元々通っていた大変に偏差値の高い私立の女子高等学校の方も辞めて、こちらの偏差値の大変に低い、悪の巣窟とも言ってよい。


 まあ、いつ廃校になっても可笑しくはない、太田女子高等学校をお父さまに嘆願して、出資をするからと買い取ってもらい。

 我が家の家名をつけ、私立白鳥学園とするのに沢山の費用もかけ、この日のため! わたくしの親愛なるお姉さまヒーローさまへの挨拶! をしてお仲間……。と呼ばれる者にしてもらうために準備をしてきたわたくしですから、気を取り直して、お姉さまヒーローさまやお連れさま達が困惑をしていようがお構いなしに。


「……さっそくのお控え、ありがとうござんす」


 とわたくしは丁寧にお礼を告げ。


「手前、生国と発しまするは安芸の国は宮島、原爆ドームもある広島市でござんす、姓は白鳥、名は可憐でございます……。今後お見知りおきよ……」


 と、わたくしは『はぁ、はぁ』と緊張……。


 この小さな胸が破裂しそうなぐらい緊張しつつ、わたくしは親愛なるお姉さまヒーローさまや御連れさま達へとと呼ばれるもの……。


 そうこのの街、広島らしく、任侠映画ぽく丁寧に挨拶をさせて頂いたのですが。当事者であらせられるお姉さまヒーローさまとお連れのヤンキーさま達は。


「誰、この娘?」

「誰かの知り合い?」

「さぁ、誰だろう?」

「家の新しく変わった学園の名前と同じだね、この娘……」

「あっ、本当だ……」

「本当にこんな漫画のような苗字をもつ人っているんだ?」

「居るみたいだね?」

「うん、うん」


 この後もみなさまは首肯しつつ、わたくしは誰の知人なのか? と、お姉さまヒーローさまも含めて会議……。雑談されるからわたくしは本当に酷いですわ! となりますから。


「もう~、お姉さま~、酷い~。あんまりですわ~」


『シクシク』と、わたくしは初めて着衣するセーラー服にリボンもちゃんと結ばずふしだらな容姿と長めのスカートを引きずるではなく。地面にベタリ! とつけつつへたり込み泣くところから、の『おぅ、ほっ、ほほほほほほ~』な、昭和のヤンキー物語の始まりでございます。




 ◇◇◇



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