第7話 51〜60日目
51日目:眠れない夜
布団に入っても、眠れなかった。
時計の針が動く音だけが、部屋に響く。
スマホを見ても、特に通知はない。
ただ、ぼんやりと天井を眺めるだけの夜。
---
52日目:自動販売機の前で
学校帰り、自販機の前で立ち止まる。
何か飲もうか迷ったけど、結局何も買わなかった。
ふと、昔友達とここでジュースを買って飲んだことを思い出す。
「あの頃は、楽しかったのにな」
---
53日目:誰も気づかないこと
教室で、俺はずっと黙っていた。
別に話したくないわけじゃない。
ただ、話すことがなかっただけ。
誰かが俺に気づいてくれるかな、なんて期待したけど、誰も気にしていなかった。
---
54日目:スマホの通知
授業中、スマホが震えた。
誰かからのメッセージかと思ったけど、ただの広告だった。
……がっかりした自分に、少し驚いた。
---
55日目:空っぽのノート
授業中、ノートを開いた。
でも、そこには何も書かれていなかった。
黒板の字を書き写す気力すらない。
「俺、何やってるんだろうな」
---
56日目:ポケットの中の飴
ポケットに手を入れると、小さな飴が入っていた。
「これ、あげる」
昔、友達がくれたやつだった。
いつの間にか忘れてたけど、なぜか捨てられなくて、そのまま持っていた。
---
57日目:遠くの笑い声
誰かが笑っていた。
楽しそうな声が、遠くから聞こえる。
俺には関係のない世界。
でも、その笑い声を嫌いになれなかった。
---
58日目:教室の片隅で
授業が終わって、みんなが帰っていく。
俺は、ただ一人、教室に残った。
窓の外を見ながら、ぼんやりと時間が過ぎるのを待つ。何かに期待してるんだ。
「……俺は、何を待ってるんだ?」
59日目:名前を呼ばれること
「おーい!」
不意に名前を呼ばれた。
驚いて振り向くと、クラスのやつが俺を見ていた。
「何?」と聞いたら、「いや、なんとなく」と言われた。
なんとなく——それでも、俺の存在を認識してくれることが、少しだけ嬉しかった。
---
60日目:夕焼けの帰り道
空が赤く染まっていた。
学校の帰り道、ふと空を見上げる。
綺麗だな、と思った。
そんなことを思う自分に、少しだけ驚いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます