ユウジは神に愛される

ろいやるぷりん

第1話 ユウジ、ウルフに出会う

「あ、街だ。」


俺はユウジ、特に目的もなくぶらぶらと旅をしている。

いつから旅に出ているのか、俺の生まれはどこなのか、何も覚えていないのだ。

自慢できることといえば、異常なまでの戦闘能力だ。


それこそ街一つくらい、時間をかければ征服できるんじゃないかと思うほど、

正直言って俺は強い。だが、この力を使って何をしたと問われれば、

ほとんど何もできていないのだ。数年間旅を続けているにしては、

正直言ってあまり内容の濃い旅とは言えない。


「この街、結構大きいな、しばらくはここにいようかな。」


そんなことを考えていると、ふと横の建物が目にはいる。


「なんだここ?明らかにやばそうな感じがするな...」


いくら気になるからって、勝手にこんなところに入っていいわけがない。だが…


「おじゃましまーす……──(怯)」


やはり好奇心には勝てなかった。

駄目だと分かっていても、どんどんと奥へ進んでいってしまう。

数メートルほどの廊下を進むと突然、

シュンッ───という音と共に、目の前を刀が通り過ぎる。

あと数ミリずれていたら…と考えると、自然と冷や汗が流れる。


「おっと、出会っていきなり切るってのは、

いくらなんでも乱暴すぎるんじゃねえのかなぁ!?」


目の前にいたのは、ご自慢の刀を避けられてやや驚いている様子の少女だった。

だが彼女はすぐに意識を取り戻し、言った。


「勝手に入って来ておいて、よくそんなことが言えますね。」


「待てよ、俺は別に戦いに来たんじゃないぜ?勝手に入ったことは謝るよ、

なんかここの雰囲気がえらく気に入ってさ。」


すると、今度は後ろから声がする。


(二人目!?)


「嘘はつかないほうがいいよ~、長生きしたいんならね~。」


二人目は武器は持っていない。だが、刀の少女と同じくらいの圧力を感じた。


「だから、俺は本当に──」


言い終わらないうちに二人が攻めてきた。だが、なんだこの違和感は…

俺は、強さには自信がある。だが、

この二人は俺ほどではないにしろ、とてつもなく強い。早く、強く、隙がない。

一人相手なら負けないだろうが、二人相手は正直無理だ。少しずつだが、

劣勢になり、体にダメージが蓄積していくのが分かった。


「ちぃッ!」


たまらず距離を置く。


「おニイさん、ちょっとはやるみたいだけど、

               早めに降参したほうがいいと思うよ~。」


「へッ ご忠告どうも、じゃあ、こっちも本気でいかせてもらうぞ!」


俺は全身の力を抜き、本能に体を任せるように動いた。


(こいつを使ったのは久々だな。)


さっきとは打って変わって、壁や天井を駆使した獣のような戦い方に、

少女らは少し苦戦している様子だった。

だがそろそろ俺の体力も限界。このまま倒れるかと思った瞬間、


「お前ら、やめろぉっ──!!」


と、奥のほうからまた新しい、別の声がした。







【追記】

更新は気ままにやっていこうとおもうので、よろしくおねがいします!

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