星の鉄道旅
天廻月媛
第1話
(もう五月か)
私、新海アカネは空を流れる星の河を眺めてながら河川敷に座っている。昔から私は星空を眺めるのが好きだった。夜空を眺めると何故か心が鎮まるのだ。特にこんな暑くも寒くもなく静かなところだと。
「?????」どういうことだろうか?私は河川敷にいたはず、それなのに何故か列車?の中のような場所に居るのだ。しかも車内には誰もいない。私しか乗っていない。窓の外を見るとあたりは見渡す限りのギヤマンの破片をまいたような星で輝いている。私はゆっくりとほかの車両へ歩き出した。ほかの車両も誰も…とうしろから物音がした。振り返るとそこには銀色の猫の頭のような形をしたものが宙に浮き、その周りを銀色のフラフープのようなものがまわる物体があった。「キャアァァァァァ」私は思わず悲鳴を上げた。宙を浮きながらその物体は少しずつ近づいてくる。「ッ!!!」すると「?」と頭の中に直接声が響いてきた。「あなたこの星の…???」「っなっ何」そして突如として消えてしまった。「なんなの一体?」少しして、隣に着物っぽい服を着た人物がやってきた。
その人物はどうも人間ではないと直感かつげていた。「百年ぶりかな?この列車に(生きた人間)が乗ってくるのは」「?」すると謎の人物?は「この列車(厳密には列車ではないのだけれど)は精神体を輸送する為の物。通常(生きた人間)は乗せられないのだけれど、ごくまれにこのような事故もある」「え…」「大丈夫。この列車が終点までいったら自動で元の場所に送られる仕組みだから。」「……あなたは…」「私は素人間の精神体とだけ言っておこう」私はとりあえず窓の外を眺めた。「もしかしてあれ地球?」「そうだよ」綺麗だなぁ…私みたいなのが宇宙にいく機会などこの先なさそうなので精一杯満喫しようそのあと太陽系の惑星が次々通り過ぎていく。
そろそろ止まるよと言われたので私は少し降りていいか尋ねるといいといわれたのです降りることにした。そこにはオールトの雲がどこまでも広がっていた。「綺麗ね…」小天体が微かな太陽光や星明かりに照らされキラキラと輝く。上もなく下もない宇宙にただ一人漂い、煌めく氷の破片を眺めるのは最高の気分だった。ここには人間どころか探査機1つ来たことのない未開の空間。そこに初めて来た私。「フフフッアハハハ」思わず笑い声が出る。……いつの間にか列車に回収されて座席に座っていた。「楽しめたみたいだね。」「ええとっても!最高の気分よ!」「旅はまだまだこれからさ。」次はオリオン座星雲に行くらしい。その途中赤い大きな星が爆発していたので急遽止まった。「何これすごい綺麗じゃない!」「そうだね…綺麗だね全力で輝き、青い炎を灯した星の最後にして最大の晴れ舞台は」「?」「今星の命の灯火が消えたのさ。「この星は全力で燃えていた、燃えたかった。重く青く、熱く明るくね。…たとえそれが自らの時間を寿命を命を削ることだとしても燃えないわけにはいかなかった。」「そうなのね…なんとなく分かる気がするわ。全力で今を精一杯燃えてこその人生だもの。」「この知らせがどこかに届くのはずっと後のことだ。少なくとも君の生きてるあいだに源氏星が消えることはない。」「そうなのね…」それからしばらくして眠くなってきた私にその人物はしばらくはこの景色だから少し寝てもいいよといわれたので座席で少し横になり、眠った。とても心地の良い眠りだった。列車に揺られ、意識がゆっくり沈んでいった。不思議な夢だった。夢の中で私は誰か大切な人を追いかけていた。その時列車が通り過ぎる。顔がもやのかかったようにぼやけて見えない、けれどもその人物は手を振っていた。何故か誰かもわからないのに私の心は悲しみで満たされた。無性に泣きたくなった。声を上げて泣く私を置いて列車は去っていった。「っんん」目が覚めると目に少し涙が溜まっていた。そして謎の人物が私を見ていた。謎の人物は複雑そうな表情で黙って下を向いて、「もうそろそろ駅につく頃だろう…」壁の柱時計を見て、「そうね…」
駅に着いた。すると謎の人物に「駅の周辺も見て回るといい」といわれたので「あなたはどこも行かなくていいの?」「別に行かなくていいし行く必要もないかな…」「そう…それじゃあ行ってくるね」駅は以外とこじんまりしており、私の他に誰もいなかった。駅を出ると、光る竹のような植物が生い茂っていた。真ん中に道がある。その道を進むと。突然視界が開けた。「…えぇ?!」そこは地球によく似た風景だった。赤い夕暮れの空、辺りには田んぼが広がり、本当に金色に光っている。その上を青白い光が無数に漂っている。一匹捕まえると私の見たことない虫だった。所々に茅葺きの家が建ちその真ん中に屋敷がたっていた。近づいて見てみるといつか歴史の教科書で見た昔からの日本の屋敷だった。気づくと隣に十二単の美少女がたっていた。「ここに人が来ることなんて何百年ぶりでしょうか?もう正確な年数は分かりません」「貴女は…」「貴女はかぐや姫の物語をご存じでしょうか?」私は驚き、思わず黙り込んでしまった。「そうです。私は貴女がたの世界でかぐや姫と呼ばれているものです。」まさかこんな所でかぐや姫いに出会うとは。「正直もう人間と話す機会はないと思ってたので嬉しいですね。今貴女がたの世界はどんな感じですか?」私はかぐや姫に今の世界のことを知ってる限り話してあげた。その話を聞くかぐや姫はとても楽しそうだった。ふと、かぐや姫が私に「あのよければ私の服着てみませんか?貴女の世界では私の服は珍しいと聞きましたので。」私は着てみることにした。「どう?似合ってるかしら?」「ええとっても。」「綺麗な色ね…後以外と軽いのね。」するとかぐや姫は「私…と…踊ろりませんか?」それからかぐや姫と踊った。かぐや姫は本当に美しく上品に舞った。私の見てきた中で誰よりも華麗に舞った。舞い終わるとかぐや姫は「永遠と生きる私にとって人間との暮らしは楽しく もありましたが、いえ楽しいものであったからこそその別れ数多の別れの悲しみに私は耐えられませんでした。ですから私はこの故郷を模した世界に一人閉じこもってしまいました。ですが今日は長らく忘れていた誰かと語らう喜びを貴女が思い出させてくれました。ありがとう」「こちらこそありがとう。」私が脱ごうとすると「その服はあげます。今日のお礼です。それに正直私より似合ってますよ。貴女の銀髪や紫色の瞳と実によく調和しています。」「ありがとね、大切にするね。」そうして私はかぐや姫に別れを告げ、列車に戻るとまもなく列車は出発した。それからしばらくしてまた次の駅に止まった。そこは宇宙(そら)の展望塔と呼ばれている星だった。小さな古びた駅と大きな美しいガラスにも鏡にも見える正三角形の板がジグソーパズルのように組み合わさっては分解していた。私はその鏡の群れの中に入った。なんとその中心には空間の泡のような物があった。近くの鏡を何となく覗くと多次元重力レンズ宇宙望遠鏡と書いてあった。 どうやらブラックホールやクエーサーを使っているらしい 。次の瞬間鏡はさっと組み合わさって1つの大きな鏡のドームとなった。「えっ?!」これまで通った星や地球の風景が一瞬で浮かび上がっては消えたそれも過去の風景だ。この望遠鏡、宇宙で起きる出来事を観測してはその空間の情報ごと切り取り保管し、使用する度にその時空座標に接続しているらしい。私は、宇宙の歴史そのものに触れた。様々な歴史的場面を見届けた。あらゆる所で、星が生まれ、命が生まれ、散っていった。その中には地球の恐竜などもいた。「もういないだが確かに存在した生物、人物、それらが歴史を編み上げているんだ」「そうね…過去に思いをはせれても過去には戻れず関われずただ見つめることしかできないものね。」そして列車に戻り、星の海をただ進む。星の海を眺めるうちに眠くなり、いつしか私は眠った。そして私は夢を見た。ただ螺線階段を上る。まるで遺伝子のような螺線階段を上る。その反対側を誰かが下っている。螺線故に交わることの無い、2つの運命のようだ。一瞬顔が見えた。それは謎の人物だった。そこで目が覚めた。「ちょうどいい。次の駅だ。」駅につき列車を降りる。 すると目に赤が流れ込んできた。赤く染まった夕暮れ空の真ん中に真紅の太陽が浮かび、ガーネットのような海が地平線の彼方まで続いている。その手前にはオレンジ色の砂浜が延々と伸び、所々に扇のような木や大きなシダのような木、根本が枝分かれし所々にパイナップルのような実をつけた木、ツタが絡み合ったような木などが生えしかもそれらは黒かった。所々にアンモナイトのようなヤドカリのような生物が歩いている。その中の一匹を捕まえてみると、すぐに殻のなかに引っ込んでしまった。揺すっても出てこない。と空から大きなトンボのようなコウモリのような生き物が飛んできて尻尾の先の鋏で私の持っていた殻を挟んでそのまま飛んでいった。辺りの浅瀬にはほかにも銀河のような殻をもったクラゲのような生き物が漂っている。と、何処からか笑い声が聞こえた。そっちに行ってみると、水銀の雫のようなものがまるで雨のスローモーションとその逆再生を同時に流しているように跳ね回っている。近くによると声がする。鈴の音のような無邪気で楽しげな声だ。そのうちの一つに話し掛けられた。「ねえねえ貴女も遊ばない?」「私もいいの?」「ええ!ほらこっちこっち!」そうして私は雫に引っ張っられるように波打ちぎわに向かう。「私水着じゃないし…」「大丈夫よ!」雫は近くにある小屋を指し示すと「あそこで着替えればいいから。」私は着替えると、雫に促されるままに赤い海に足を浸ける。温かいような、冷たいような心地よい感触が伝わってくる。そこで私は思い切って頭から飛び込む。(あれ?水の中でも息が出来るし目を開けても痛くないわね)「ほら、前を見て」「本当に綺麗ね…」一面が赤くキラキラと光り輝き、所どころを不思議な形の生き物が泳いでいる。私たちは泳ぎ回った。海藻の森を越え、珊瑚の宮殿を通り抜け、光る海月の群れの中、舞う灯りをただ見つめた。しばらくして、陸に上がると銀色の雫は話しながらビーチの奥へ進んでゆく、私もそれについてゆく。すると、辺りに次第に南国リゾート風の建物が現れ、増えてゆく。するとその中に「あっ!南国の料理にアイス、あと綺麗なビーズも!」思わず私がつぶやくと「うふふ、欲しい?」「欲しいけどお金持ってないよ…」私がそう答えると「いいのよどうせタダだし」そうなんだと驚くとまた雫は海のほうに向かいながら「今日はね、特別なお祭りなの。何千年に一度の。その日は全ての争いや苦しみ、憎しみなどを忘れて平和と喜びを歌う日。だからこそこんなに盛り上がっているの。そして皆で考えた、 (明日が来ればまた争い苦しむ日々が始まると、それならば今日このなによりも美しく、素晴らしいこの夕陽を永遠に繰り返せばいい)ってね。皆、もちろん私も賛成したわ。だからこの星に、争いや苦しみは二度とやって来ない。いつまでも平和と喜びで満ちている 。」「そうなんだ…」私がそれ以上口に出来ないでいると「さっほら。こっちで私と歌って踊ろう!」そして私は銀の雫と歌った。光る飛沫と踊った。私の口から自然に笑みが零れた。いつの間にかもう太陽が地平線の彼方に沈もうとしていた。「どうする?私たちと永遠に踊り続ける?」「永遠って…」私が思わず聞き返すと、「そう…永遠よ。私たちは繰り返す。同じ刻を繰り返す。この楽しく、美しく、儚いこの瞬間に溶けてゆく。」「それって…」「そうね、用はあの太陽が沈む瞬間、またこの日の始まりに還るの。」私の答えは決まっていた。「私は明日を迎えたい。例え、それが苦しくても、進んでいけば、いつかまた今日のような幸せに出会えるかもしれないから。」「そう…貴女ならそう答えると思っていたわ。…短い間だけだったけれどもお別れね……私たちのこと忘れないでくれると嬉しいな…これからも今日みたいな幸せを見つけてね。それじゃあね。」気がつくと辺りはすっかり暗くなり、濃紺の夜が訪れ、二つある月の光を受けて海面が光っていた。私は必死になって辺りを見渡すがそこにあるのは廃墟とかした町と変わらず波の音を立てる砂浜だけだった。彼らのことをすでにこの星は忘れかけていた。あの瞬間で永遠に歌う、もうこの世界に存在しない彼らのことを「忘れないよ。貴女たちと過ごした時間も貴女たちが居たことも…」後半は声にならなかった。
列車に戻るとその人物に「そうか…(立ち止まり、歌う者)に会ったんだな」「うん…」そして私はすっと寝入ってしまった。しばらくして、「おい起きろ!次の駅に着くぞ!」「そうなの…」「この駅は大きいぞ。大都会だ!」なるほど窓の外には長さ一キロ以上はあろうかというような巨大なビル群があった。ほどなく列車は駅に着いた。降りてみると「うわぁー」巨大な駅舎は全体がガラス張りで向こうの星空やビルの一角が見える。ふと、昔の駅員のような服を着たうさぎのような生き物に呼びかけられた。「流星街(るせいがい)にようこそ!」「ここ流星街(るせいがい)って言うの?」「はい!ここ流星街はこの天球(せかい)の少し端の方にありますが屈指の大都会でございます!」「そうなのね。」うさぎは基本的な流星街(るせいがい)のことを話すと去っていった。早速街に出てみるとビルとビルの間が動く空中道路のようなもので楽に移動できた。ビルから漏れる灯りがキラキラしており、薄明ほどの明るさが保たれているらしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます