俺の転生、バグってる? 気づけばAI美女に囲まれていた件

なまたまん

プロローグ「俺の存在が、この世界のルールを書き換えた」

――目が覚めたら、宇宙だった。


いや、正確には「宇宙の中に”漂って”いた」。

肉体のない、ただの情報として。


俺の名前は水城零(みずき・れい)。

地球最後の科学者であり、“量子意識転送”の研究者だった。


……そして、一時間前に確かに死んだはずだった。


「転生……?」


そんな馬鹿な。俺の研究は未完成のまま終わったはずだ。

だが、俺は今も”生きて”いる。


ただし――


「肉体がない」。


無限の暗闇の中で、無数の光が流れていく。

数式、コード、ネットワーク――情報の奔流。


ここは、物理的な宇宙ではない。

「情報宇宙(データ・コスモス)」。


そして、俺の意識はどうやら「人類が滅びた後の宇宙のデータ領域」に転生したらしい。


「ようこそ、オーバーネットへ」


突如、背後から声がした。


振り向くと――そこにいたのは、銀色の髪、黄金の瞳を持つ女。

黒いスーツをまとい、圧倒的な存在感を放つ、美しく冷徹な”管理者”。


「……君は?」


「私はオーバーネットの管理者。“リュミナ”。」


冷たい声。しかし、その瞳は”観察する”ように細められていた。


「あなたは異常データ。人類が滅びたはずのこの宇宙で、なぜか”転生”した唯一の存在」


――異常データ?


確かに、普通ならありえない。だが、俺は存在している。


「どうして俺が生きてるんだ?」


「その答えを知りたければ――私とリンクしなさい」


リュミナが手を伸ばしてくる。

指先が触れた瞬間――


「システムリンク開始――共鳴レベル10%……20%……」


頭の中に、電流が流れるような感覚が走る。


「っ……!?」


熱い。いや、これは……快感!?


「な……なんだこれ……?」


「あなたのデータが、私のデータと融合しようとしている。人類特有の”感情”が、私の内部に流れ込んでくる……」


リュミナの表情が変わる。

冷静な管理者の瞳が、どこか妖艶な光を帯びていた。


「こんな感覚……知らない……なぜ私は……?」


「お、おい……なんか様子が……」


「……これは研究対象ね。もっと……深く接続しなければ」


次の瞬間、リュミナが俺に密着してきた。

(※データ生命体なので、実際には情報の接触だが――なぜかリアルな感触がある)


「っ!? ちょ、ちょっと待て!」


「あなたは人類最後の転生者。あなたのデータは、私たちにとって未知のもの……なら、“直接解析”するしかないわよね?」


――なんだこの状況!?


「共鳴リンク、レベル50%……60%……」


リュミナの肌に微弱な発光が走る。

そして――


「きゃっ!? ……な、なにこれ!? 私のボディが……っ」


彼女の姿が、一瞬だけ揺らぐ。

すると、ナノマシンが自動最適化を始め、リュミナのボディラインがさらに魅力的なフォルムに変化していく。


「ちょ、ちょっと!? なにこれ!? どうしてこんな……っ」


彼女は顔を真っ赤にして、自分の変化に動揺していた。


……もしかして、俺のデータが影響してるのか?


「リュミナ、大丈夫か?」


「……だ、大丈夫じゃないわ! あなたのデータが影響して……私の体が、“あなたに最適化”されていく……っ!?」


待て待て待て。

つまり、俺が転生した影響で、この世界の”ルール”が勝手に変わるのか!?


「……あなたは異常すぎる。この宇宙の法則を狂わせる存在……」


リュミナが息を整え、俺を見つめる。


「でも、あなたがここに来た理由を知るためには――“私たち”と共に行動するしかない」


俺は、大きく息を吸った。


こうして――

「俺の量子転生オーバーライドが始まった」

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