第3話 冒険者登録。

 こ、ここは……テンプレ!


 冒険者ギルドの中は、外装と同じコンクリートみたいな材質で出来てるって事を除けばテンプレどおりの造りをしてる!


 入って右手にカウンターが並び、ちゃーんと若い女性達がカウンターの奥に座っている。


 そして反対側の左手は酒場、というか食堂。

 テンプレと違う事といったら、飲んで騒ぐ冒険者の姿が見えない事ぐらい。

 時間帯の所為か、食事をしている人はそれなりに居るのに何で酒飲んでる奴がいないんだろう。

 ここの冒険者は大人しいのが多いのか?


 まあいい、そして正面の壁には依頼票……?

 あれっ? よく見たらこれ、依頼票じゃなくて価格表じゃね?


 壁に掛けられた大きなボードには品物の名前と買取価格が所狭しと書かれている。


 なるほど。

 ここで値段を確認して、割のいい物を採りに行くって感じなのかな。

 って、あれ、俺、文字読めてる?


 またかよ、またなのかよ!

 なんで、俺の転生はドラマチックさが皆無なのかねぇ!

 もうちょっと、こう、なんかあるじゃん?

 こんなんなら最初に、異世界言語のスキルを取得しましたぁー、とか言ってくれれば言葉通じるのかなぁとか悩まなくて済んだのに!


 あっ。よく思い起こしてみると俺、転生してから言葉が通じるかで悩んでないや。



「こちらに来てくれ」



 やっと、職員さんとの話し合いが終わったのか、中年兵士さんから呼ばれたのでカウンターに行く。



「私は冒険者ギルド職員のクルプよ」


「……よろしくお願いします」


「えーと、冒険者になりにきたのよね?」


「は、はい」


「よろしい、じゃあ、こっちついてきて」



 クルプさんがカウンターから出てきた。

 だが、俺は今、それどころじゃない。


 クルプさんの漆黒のロングヘア―の上から目が離せないのだ。


 獣耳だ!!!


 マジか!!

 街の中があまりファンタジーっぽくなかったから期待してなかったけど、ここで獣耳娘が来ますか!!

 そうですか、はい、大好物です!!!!


 おっ! 尻尾もある!

 あの尻尾の形状からすると短毛猫型獣人さんですね。

 おぉ、クルプさん、スレンダーさんかと思ってたけど意外とお尻にはボリュームが…… 

 スレンダーというよりアスリート体形って感じか、それもまたよし。

 そして、スカートから伸びるそのおみ足は……


 マジか! マジか!!!

 まさか最近の定番の耳と尻尾だけがケモノの獣人じゃなくてブ〇スオ〇ファ〇アIIのリ〇プータイプの獣人だったのか!!

 あっ、でも耳の位置は違うか。

 でも、そんな事は小さい事。


 幼き日の俺を歪めたリン〇ーさんを思い起こさせる、その、黒く美しい毛並みのおみ足だけで、もう、俺は、俺は……






「どうしたの?」


「……あっ、すいません、ちょっとビックリしちゃって」



 やっべぇ、興奮でトリップしかけてた。

 あんまり興奮し過ぎると挙動不審になっちまう、少し落ち着こう。



「ビックリ? ……あぁ、前に居た所にはあまり獣人が居なかったのね」


「まあ、はい」


「そう、でも私なんかよりも、もっと獣の血が濃い人なんかは顔にまで獣の特徴が出てる人もいたりするんだけど、恐がらなくても大丈夫よ。中身は普通の人だから」


「恐くはありません!」


「そ、そう? まあ、ほとんどの獣人は血が薄くて、耳と尻尾があるだけなんだけどね」



 大丈夫です!!!

 顔が獣っぽくても、ケモナー系の薄い本も数冊は持っていた俺には、人間的なシルエットが残ってて二本足で歩いている限りはイケます!!!

 マスコットキャラっぽくなっちゃうとちょっとキツイけど……

 でもマスコットキャラっぽいのも可愛いとは思います!


 あっやべ! 興奮しすぎて声に出てないよな……



「それでは、これから冒険者ギルド入会の手続きに入ります」



 おっと、手続き関係はちゃんとしておかないと。

 っていうか、歩いて来た記憶なんて全く無いんだが、いつの間に個室に移動して来たんだ?



「ではまず、『発現』の確認の為、簡易鑑定させていただきます。鑑定結果は冒険者ギルド、行政組織ともに記録に残させていただきます。」



 記録に残すって事は鑑定結果を見られちゃうって事?

 俺の全てをクルプさんに見られちゃう……

 は、はずかしいー!







 ふざけるのはこれくらいにして、ここでチートが発覚なんてして注目を集めてしまうのは得策では無いのだが……記録に残すのは既定路線みたいだからしょうがない。


「では、鑑定機に手を置いてください」


 金属製のノートパソコンのような物が置かれた部屋の隅に誘導されて、前に着くとクルプさんと中年兵士さんの二人が後ろから覗き込んでくる。


 キーボードでは無く半球が付いているので、俺はその半球に手を乗せると、モニター部分が光りだす。



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 名前 : シムナ    年齢 : 10歳

 種族 : 普人族    ジョブ: 

 

 スキル: 持久 Lv1      

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 シムナ。シムナ!?

 ゲームで主人公の名前としてよく使ってた名前だけど……何でシムナ!?

 10歳になってるぅだとか、スキルが持久力だけって短期決戦には意味なさそうなスキルしか無いじゃんチートはどこいったぁとか、どうでも……よくはないけど、今はとりあえずいい。

 それより何でシムナなんだ!!!


 えっ? ここゲーム世界?

 ゲームをサ終までプレイし続けた覚えもないし、謎のゲームを始めた記憶も無いい、こんな世界感のゲームにハマったことも無いのにゲーム世界なの?



「確かに、冒険者ギルド、クプスナ王国フーンジュン支部職員クルプ、『発現』を確認しました」


「フェフミオ公爵家筆頭騎士ガランド・マルファ、『発現』を確認」



 公爵家筆頭騎士!?中年兵士さんが!?

 ただのショタ好き中年じゃなくてショタ好きの偉いさん!?

 その公爵の領地大丈夫か?



「では初ジョブ神授に移ります、こちらへ」



 神授!?やっぱり神様とかいる世界なの?


 隣に置いてあった金属製の箱に書かれている丸い印に手を置くと……何も起こらない。


 あれっ? 何か間違えた?



「初ジョブ神授が終わったみたいね、でもちょっと、まだ待ってね…………はい、設定変更と魔石交換が終わったから、こっち戻ってきて、では初ジョブ神授後の再鑑定を受けていただきます」



 へっ? 何も起きてないけど大丈夫?




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 名前 : シムナ    年齢 : 10歳

 種族 : 普人族    ジョブ:見習い召喚士 Lv1


 スキル: 持久 Lv1  召喚術 Lv1

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「おお! 持久持ちの召喚士か、有望だな」


 中ね、いやいや、ガランド様がそう言って誉めてくれたけど、その言い方だと普通に優秀って感じだよね? 


 俺のチートは? 

 さっきはそれどころじゃなくて、ああ言ったけどやっぱりチートは欲しい! チートチートチート! 俺のチートはどぉこだぁあああ!!!



「はい、これがあなたのギルドカードだから失くさないようにね」



 鑑定機に挿さっていたカードを抜いて、クルプたんが俺にカードを渡してくれた。


 ありがとうクルプたん、できればカードだけじゃなく俺のもぬ……


 いけないいけない、まだ出会ったばかり、いきなりのセクハラ発言なんて最悪だ、心の中にも歯止めを掛けておかないと口から零れちゃうかもしれないからな、気を付けておこう。


 受け取ったカードを見てみる。


冒険者ギルド フーンジュン支部所属

10級冒険者  シムナ 


 いいねぇいいねぇ。

 なんか冒険者になったっていう感じがしてくるよ。




 その後、三人でカウンターまで戻り、クルプたんからギルドの規則やシステム、二階にある資料室等のギルドの施設の使い方などを教えてもらった。

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