①hisamorifam.docx

「まずは、大変お忙しい中、

時間を作ってくださり

ありがとうございました」


いえいえ、とんでもないですよ。


「早速ですが本題に、

こちらの写真は誰が撮られたんですか?」


そうですね、かなり昔のことなんで

曖昧ですけど、家族しかいなかったので

おそらくああいうタイマー機能を

使って撮影したんじゃないですかね。


「そうだったんですね、

この写真を霊媒師とかには」


出したんですよ、

でも受け取ってもらえなくて。


「受け取ってもらえない?」


はい、呪いの効力が強すぎて。


「そんなこともあるんですね、」


疑問に思ったのは、おそらく

気づかれていると思うんですけど、その口です。


「ですね、

年を重ねるごとに大きくなっていきますよね」


そうなんです、気味が悪いんですよ。


「全くの赤の他人ですよね」


そうなんです。

見たことも会ったこともないです。


「当時はこのマンションで

暮らしていたということで、

こちらは何階の部屋でしたか?」


9階です。

しかもバルコニーがあるわけでもなく、

完全に浮いているんです。


「マンションの9階で」


はい、有り得ませんよね。


「ご家族もご存知のない方ですか?」


はい、誰1人。


「この写真の異変に気が付かれたのって」


そうですね、四年前とかです。

家族でたまたま掃除をしている最中に

見つけたんです。

最初は和やかに懐かしいね、

なんていいながら

話していると徐々に

顔が青ざめましたねみんな。


「そうですよね、不気味ですよね」


全く不気味です。


「そちらの写真、お持ちいただいたみたいで」


はい、持ってきました。


「おお、厳重に隠されて持ってきてますね」


かなりぐるぐる巻きにしました。

それこそ2年前からは開いてないです。


「もしかすると?」


そうかもしれません。

もっと大きくなっているのかも。


「お、見えてきた。え?」


口が開いてない。


「ただ笑っているだけですよね」


今、目合っちゃいました。

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