第21話
わかってはいるのにやっぱり自分の感情はままならなくて、逃げようとしたのか後ずさる彼女を無理やり抱きしめた。
「篠津さん、やめてっ、どうして、こんな…っ」
「それを君が言うの?俺はずっとキョウカを…君を待ってたのに…」
もう黙っていても同じ事だろうとキョウカの名前を出せば彼女は目を見開いて驚いているようだった。本当に気づいていないと思っていたのだろうか。
ずっと見てきた。キョウカのときの彼女も、仕事場で働く彼女も。ずっと見てきたのだから気づかないわけがないだろうに。
腕の中に確かに感じる存在にずっと乾いていた心があたたかなもので満たされる。乾ききった大地を潤すようなそれはあの日彼女との繋がりを作ってくれた雨のようで。
もう二度とこのぬくもりを失いたくないと思った。他の誰かに渡したくないと思った。ずっと自分のそばにいてほしくて、それが叶わないのなら本当に死んでしまうのではないかと思った。
それぐらいに大切で独占したくて、大事で愛おしくて、どうしようもなく好きだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます