第4話

「あ、清兼さん!これなんだけど、」



「はい?あぁ、それなら多分宮田さんですね。第二会議室のほうにいると思いますよ」




お礼を言って離れる同僚に気にしなくていいと声をかけてパソコンに向き直るとトントンと隣から肩を叩かれる。



なんだろうと顔をそちらに向ければどこか複雑な笑みを浮かべた友人が項の生え際当たりを指して「痕、ついてる」と小声で教えてくれた。



心当たりのありすぎるそれに赤面して手のひらで隠すもののすでに遅く、クスクスと笑われてさらに恥ずかしくなった。




「隠してきたら?相手、どうせ彼でしょ?」



「どうせって…まぁそうだけど」




蔑ろにしているようにも聞こえる言葉に不満を抱きつつ友人がそう言いたくもなる原因はわたしにあるかと諦めて化粧室へと立つ。



入れ違いのように入ってきた人に緊張しながら軽く頭を下げてわたしは足早に目的地に向かった。




「あ、ほんとについてる…」




薄く赤い花びらのように残されたそれは指摘されなければ気づかなかっただろう。むしろ気づいた友人がすごい。よくわかったな、これ。うーん、薄く隠して念のために髪も下ろしておこうかな。

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