溺愛飼育方

第24話

「今まで何の違和感もなく当たり前のこととして頼っていたけど、悟に好きな人ができたんならこれまで通り一緒にいるっていうのはその彼女に失礼だと思うんだよね。ほら、悟だってわたしに好きな人ができて自分と一緒にいるのはその相手に悪いなぁって思わない？」

まぁ好きな人いないけどね。作る予定もない。けどわたしのことをよく知っている悟にはこの説明が一番効果的かなぁと。

思い返してみればわたしの記憶の中は悟でいっぱいだ。しかももれなくわたしの世話をしている。うん、今と変わらないね。

もはやわたしの面倒を見るのは悟の義務になってるんじゃないかと疑うレベルだ。実際にそういう声もあったらしいし。

だからこそわたしからもう構う必要なんてないんだと言いださないと優しい悟はこのまま一生好きな人に好きとも言えず、言ったとしてもわたしに構わないといけないって考えて破談になりそう。

生涯をわたしに費やして終わるなんてことは絶対にさせたくない。

「わたしなら…まぁ、平気だから。ね？」

そりゃしばらくは悟のいない生活には慣れないと思う。そこは断言できる。悲しいことに女子としてやらなきゃいけないことは今まで全部悟に頼り切っていたわけだし。自業自得だ。

でもそういうのって時間が解決してくれることなんじゃないかな。初めから何でもできる人なんていないし、時間をかけてこそみんななんやかんや覚えて１個１個自分のものにしていくんでしょ。

それに人間やろうと思えばだいたいのことはできる生き物だって聞いたことがあるし生きるために必要なことならそのうちわたしにも身につく…はず。絶対の自信はないから多分。