第11話
今回は短めを2本連続投稿します。1本目
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そんなこんなで表面上は普通に過ぎていく日々。
あれからも何度か宝城さん宅への訪問を繰り返していたが、これといった変化のないまま、いよいよ3年生への進級を控えた終業式の日、とんでもないニュースを聞かされることになった。
宝城さんが進級を機に、転校することになったという。
式が終わるや否や学校を飛び出し、一人で向かった俺に、宝城さんのお母さんがいつも通り出てきてくれたことに思わずホッとする。
しかし、宝城さんは既に、遠く離れた祖父母の元へと引っ越してしまった後だった。
「あの子もずっと迷ってたみたいだったけど、やっぱり何も言わずに行く方がいいって……」
「分かりました……何の役にも立てなくて、スミマセン……」
引っ越し先は、一介の中学生が電車に飛び乗って会いに行ける距離ではない。どうしようもない無力感に襲われる。
……俺の恋は、恋に昇華する前に終わってしまった。
フラフラと、どこを彷徨っているのかわからない。なのに、俺の両横にはいつの間にか太一と竜堂が歩いている。俺の鞄を持ってきてくれたようだ。
二人が無言のまま、側にいてくれることに安心感を覚える。
誰かが指示するわけでもなく、足は自然と行きつけのコンビニへ向かい、肉まんとコーヒーを買って駐車場の隅っこでダベる。
肉まんがやけにしょっぱく感じたのは、気のせいではないだろうな……
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