第2話

あれは中学2年生の時のバレンタインデーの日の放課後だった。


「今年の戦績はいかほどだったでござるか?」

「ぼ、僕は1つも貰えなかったよ……」

「俺もだ。義理すら無かったよ」

「それがしも同じですな。非モテ同盟結成直後のバレンタインとしては、まあ順当な結果でござろう」


ござる口調の男は敷島太一しきしまたいち。俺とは小学校からの付き合いでノリのいいイケメンではあるのだが、好きだった子がサッカー部のサワヤカ君と付き合い出したのを知って、ショックのあまり二次元に逃避してしまった残念な奴である。


一人称僕の使い手は真壁竜堂まかべりゅうどう。中学生ながら身長180cmを越える体格に厳つい顔、実家が道場を開いていることもあってバリバリの武闘派で、クラスでは浮きまくった孤高の存在かと思われたが、話してみれば単に見た目と大違いの、穏やかで引っ込み思案な性格なだけの残念なボッチだった。


そして俺、矢上平蔵は二人に比べて特徴のない、可もなく不可もない凡人。女子からの評価はいい人止まりな男である。要するに【どうでも】いい人ってことだが(涙)


「まあ女子からすれば、義理って言っても少なからずお金のかかることだからな。貰えなかったからって恨みごと言うのは間違ってるだろ」

「う、うん、そうだよね!」

「さすがは平蔵殿。負け惜しみも様になってるでござるなw」

「うるせーよ……つーかお前、今語尾に草生やしたな?」


まあこんな感じでバカ話を交わしていた残念トリオに、一人の女子生徒が話しかけてきた。

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