第8話 ゲットだぜ!

「ふむ……」


 自己紹介すると、ガッソーがじろじろと俺を無遠慮に見て来る。


「どうやらおまえさん、腕利きの冒険者の様じゃな」

「俺自身が強い訳ではにですけど、符術師であるヴェルネさんとは相性がすこぶるいいクラス何で」

「相性がいい……か」


 ガッソーは一度ヴェルネの方を見てから、再び俺へと視線を戻した。その目は胡散臭い物を見るかの様だ。


「まさかとは思うが……ヴェルネの事を騙して利用し様としている訳ではなかろうか?」


 金食い虫である符術師と相性のいい暮らすなんてものは、このゲーム世界にはない。そんなクラスがあるのなら、彼女はずっとソロでレベル上げをしていたりはしないだろう。だから俺がヴェルネを騙していないか、ガッソーは勘繰っているのだ。


 だが、このゲーム世界に相性のいいクラスはなくとも、ゲームとしてキャラメイクしたシーフなら話は別だ。こっちは金の成る木みたいなもんだからな。金食い虫との相性は抜群である。


「利用はしますよ、もちろん。でも……騙したりはしません」


 俺はぶっちゃける。ヴェルネを利用する気満々だという事を。


「目的が同じで、協力する価値があったから手を組んでいます」


 俺はゲームクリアのためのメンバーが欲しいから、ヴェルネの力を利用する。ヴェルネはヴェルネで、魔王討伐を実現するため俺を利用する。要は、お互いを利用するウィンウィンの関係という事だ。そこに友情なんかはないが、はばかる理由もない。冒険者とはそういう物である。


 まあここで、魔王を倒して世界の平和に貢献したいだとか。一人で頑張るヴェルネを支えたくて、的な嘘を並べて好感度を上げる事も出来るが……どうせ直ぐばれるしな、そういう嘘は。パーティー組んで一緒にやっていく訳だから。


 なので直球を放り込んだという訳である。


 まあ最悪、この爺さんとは組めなくてもそこまで問題ないし。ヴェルネとペアでも70までは行ける。そしてレベルが70になれば俺の有用性が一気に上昇するから、悪い噂を差し引いても、パーティーメンバーをぐっと見つけやすくなる。


 なので別に強いクラスでもない爺さんは、絶対必須って訳じゃないのだ。


「がっはははははは! 単純で分かりやすい。冒険者はそうでなくてはならん。ヴェルネ。いい仲間を見つけたな」

「ええ」


 どうやらガッソー爺さんは俺の返事に満足した様だ。彼が必須ではないとは言え、仲間に入って貰えるに越したことはない。


「良いじゃろう。約束通り、ヴェルネとパーティーを組もう」

「ありがとう。ガッソーおじさん」


 爺ゲットだぜ!


 字面だけ見ると、何一つ喜ばしくない気もするが。ともかく……


 爺ゲットだぜ!

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